70歳の親の「貯金500万円」は“少ない”ですか?「年金もあるから大丈夫」と言いますが、介護費用は“平均542万円”と聞き心配です…私も「貯金300万円」ですが、援助は必要でしょうか?
実際の介護や老後には、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。介護や葬儀にかかる費用の実態と、援助すべきかどうかの判断基準、さらに親と早めに対話するための方法や手順を解説します。
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目次
介護費用の平均は542万円、親の貯金500万円では足りない実態
親が要介護状態になった場合にかかる費用を、データから確認してみましょう。
公益財団法人生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる一時費用の平均は約47万2000円、月々の費用の平均は約9万円となっています。
仮に介護期間の平均である約4年7ヶ月(55ヶ月)を前提にすると、介護の平均総額は9万円×55ヶ月+47万2000円=542万2000円です。
平均的な介護費用に対して、貯金500万円の場合、介護費用だけで資金が尽きてしまう計算になります。親の年金のなかから月々の9万円を捻出できれば、取り崩しは抑えられますが、年金だけで生活費と介護費用の両方をカバーできるケースは多くありません。
月々の赤字を穴埋めすることまで考慮すると、貯金500万円は十分な額とは言い難いでしょう。
葬儀費用や医療費を含めると手持ち資金はさらに不足する
人生の最終期には、介護費用だけでなく医療費や葬儀費用も発生します。株式会社鎌倉新書の「第1回 葬儀費用の実態と納得度調査(2025年)」によると、一般的な葬儀費用の平均は約104万円、中央値は約93万円です。
仮に葬儀費用が100万円かかった場合、介護費用の542万円と合計で約642万円が必要となり、親の貯金が500万円であれば約142万円が不足する計算になります。さらに、入院費などの医療費も継続的に発生することが予測されます。
親が「貯金500万円あるから大丈夫」と言っていたとしても、それは健康に問題がない生活が続くことを前提としている場合が多く、平均どのくらいの費用が必要となるのかを具体的な金額として認識させる必要があるでしょう。
子どもは親へ資金援助をするのではなく、行動面で支えよう
介護費用などが親の貯金で不足した場合でも、自身の貯金から無理に援助するのは避けるべきです。日々の生活費に加え、自身に子どもがいる場合は教育費が必要ですし、自身の老後資金も確保しなければなりません。
手元にある300万円の貯金を親の介護に充ててしまうと、数年後に突発的な出費が重なれば、自身の家計が立ち行かなくなるリスクが高まります。原則として、介護は親自身の年金と貯金の範囲内でやり繰りするようにしましょう。
そこで、子どもからは資金援助ではなく、「行動面」で支えることが重要な役割となります。予算内で利用できるサービスをケアマネジャーと相談し、要介護認定の手続きをサポートするなど、時間や労力を使って親を支えていきましょう。
親の資産状況を把握し、不足分に備えるための対話ステップ
介護が始まってからお金の話を持ち出すと、余裕がなく感情的になりやすいため、親が元気なうちに対話を始めることが重要です。
「最近、介護費用のニュースを見たのだけど、うちはどうなっている?」といった形で第三者の話題として切り出すと、親も警戒せずに話しやすくなります。そして、毎月の年金収入と生活費のバランスを確認するなど、毎月いくら受け取っているのかも把握しておきましょう。
また、親の財産全体をリストアップしておくこともおすすめです。預貯金だけでなく、不動産などの資産の有無も確認しておきます。持ち家がある場合には、将来的に売却するなど、資金を補う選択肢も考えておきましょう。
親の貯金500万円は十分ではないが、自分の家計を守ることを最優先に
親の貯金500万円は、平均約542万円の介護費用と約100万円前後の葬儀費用を考慮すると、全体をカバーするには不足する可能性が高いのが実情です。しかし、自身の生活を犠牲にしてまで無理に援助をする必要はありません。
介護は、まず親自身の年金と資産の範囲内で計画することが基本です。元気なうちに年金収入や資産状況を共有し、不足分をどう補うのか、どのサービスなら予算内に収まるのかを話し合っておくことが、親の老後と自身の生活を守るための重要な備えとなります。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行)
株式会社鎌倉新書 第1回 葬儀費用の実態と納得度調査(2025年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
