実家に帰省したら「父が要介護」に! 母に「施設代を月5万円出して」と頼まれましたが、私は“手取り20万円”で生活はギリギリです…それでも“親のため”に払うべきですか? 利用できる制度も確認
介護費用については、「親のお金の範囲内でどこまで対応できるか」をまず一緒に考えてみましょう。本記事では、子が自腹を切らずに済むための公的制度と、親の年金だけで施設を探す考え方をFPが解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
介護費用は「まず親のお金で」が基本の考え方
「親の面倒は子どもが見るべき」という責任感から、無理をして仕送りを始める人は少なくありません。しかし、介護がいつまで続くかは誰にも分かりません。
毎月5万円の援助を5年間続ければ300万円、10年なら600万円の出費になります。手取り20万円の家計からこれだけの額を負担し続ければ、いずれ自身の貯金が底をつき、親子ともに行き詰まる「介護共倒れ」になりかねません。
まずは、「自分のお金は出せない」と親に伝え、親自身の年金と貯蓄でどこまで賄えるかを一緒に確認することが最初のステップです。親に伝えることへの心苦しさはあっても、それがお互いの生活を守ることにつながります。
負担を大きく減らせる「負担限度額認定証」と世帯分離
親の年金だけでは施設代が払えない場合、必ず確認してほしいのが「負担限度額認定証」の申請です。親が住民税非課税世帯であり、預貯金が一定額以下(単身で500万円以下など)であれば、特別養護老人ホームなどの居住費や食費が大幅に減額されます。
将来的に親を自宅に呼び寄せて同居する場合、親と子の収入が同一世帯として合算され、この減額制度が使えなくなる場合があります。
その際は、住民票を分ける「世帯分離」の手続きをとることで、親単独で非課税世帯の判定を受けられ、介護費用の負担を抑えられるケースがあります。手続き自体はそれほど複雑ではないため、市区町村の窓口に相談してみましょう。
上限を超えた分が戻ってくる「高額介護サービス費」
もう1つ忘れずに活用したいのが、1ヶ月の介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合に超過分が払い戻される「高額介護サービス費」という制度です。親が住民税非課税世帯であれば、1ヶ月の自己負担上限額は「2万4600円」や「1万5000円」に抑えられます。
こうした減免制度をフル活用すれば、高額な民間施設ではなく、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった公的施設で、親の年金(月5万~10万円程度)の範囲内で生活できる道が開けてきます。申請の手続きはケアマネジャーがサポートしてくれることも多いため、まずは相談してみることをおすすめします。
まとめ
手取り20万円から月5万円を自腹で払い続けることは、自身の将来の生活に影響を与えます。「お金は出せない」と伝えるのは心苦しいものですが、自分の生活を守ることが、結果的に親を最後まで支え続けるための土台になります。
まずは、親の住む地域の「地域包括支援センター」や担当のケアマネジャーに、「親の年金の範囲内で入れる施設を探したい」と相談し、公的制度を活用した介護プランを一緒に考えてもらうことから始めてみてください。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら少しずつ整理していきましょう。
出典
厚生労働省 介護保険施設等における居住費の負担限度額が令和6年8月1日から変わります
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
