更新日: 2019.10.04 介護

介護が必要になった時、受けられるサービスってどんなもの? 事前に確認しておこう!

執筆者 : 小山英斗

介護が必要になった時、受けられるサービスってどんなもの? 事前に確認しておこう!
前回は介護になったときに支援の柱となる公的介護保険で受けられる主なサービスについて見てきました。今回は介護サービスからのその他の給付や、他にどんな支援があるのか見ていきたいと思います。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

介護サービスからのその他の給付

要介護および要支援の認定を受けている場合に以下の給付を居宅サービスの一部として受けることができます。
 
1.住宅改修費
要介護・要支援者の安全を図ることを目的とし、住みやすい環境に整備するための住宅の改修について20万円を上限に改修費用の7割~9割が支給されます。自己負担は所得に応じて1割~3割です。原則として1回の利用が可能です。
 
日常生活に必要と思われる住宅改修であっても、介護保険で決められた支給対象工事以外のものは対象とならないことに注意が必要です。また、介護保険の住宅改修においては、支給対象と思われるものであっても工事を伴わないもの(住宅に固定されていないもの)については支給対象外です。
 
以下は支給対象となる住宅改修の例です。
 
・手すりの取り付け
・段差や傾斜の解消
・滑りにくい床材・移動しやすい床材への変更
・開き戸から引き戸等への扉の取り替え、吊元・ドアノブ交換
・和式から洋式への便器の取り替え、便器の位置・向きの変更
・その他これらの改修に付帯して必要となる工事
 
2.福祉用具貸与(レンタル)
要介護者等の自立の促進や機能訓練、また、介助者の負担の軽減を図るために、福祉用具をレンタルすることができます。対象となる用具は以下の通りです。
 

 
3.福祉用具購入費
レンタルになじまない用具(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの)や使用によってもとの形や品質が変化し、再利用できないものは、福祉用具の購入費を保険給付の対象としています。年間10万円を限度に利用可能で自己負担は所得に応じて1割~3割です。対象となるものは以下です。
 
・腰掛便座
・自動排泄処理装置の交換可能部
・入浴補助用具(入浴用いす、 浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具の部分
 
福祉用具のレンタルや購入にあたっては福祉用具専門相談員から助言を受けます。福祉用具専門相談員は、要介護者等の希望や心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、福祉用具を選定し、自立支援の観点から使用方法等を含めて助言を行います。
 

負担限度額認定制度

介護保険の負担限度額認定制度とは、ある要件を満たせば、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型病床)を利用する際に支払う住居費と食費を、軽減できる制度です。介護保険施設であればショートステイ利用でも負担軽減できます。
 
軽減が受けられる要件は、所得と預貯金等によります。大まかには所得が低くて預貯金等も少ない人が対象となります。また、所得などの条件により軽減される金額は変わります。所得に応じて「利用者負担段階」というものが決定され、その段階に従って負担額が変わります。
 

 

上乗せサービス・横出しサービス

介護サービスについては国の基準があります。しかし内容は保険者(市区町村)によって異なります。「上乗せサービス」は要介護認定ごとの支給限度額(介護給付を受けられる上限)を超えて利用した場合、市区町村が独自の判断で利用回数や利用時間などを増やすサービスです。
 
「横出しサービス」は介護保険サービスとは別に、市区町村が独自に必要と考えた福祉サービスです。介護保険サービスとは異なりますので、サービス利用にかかる費用は全額利用者負担となります。
 
主なサービス内容は市町村によって異なりますので、詳細は各自治体に問い合わせることが必要です。
 

地域包括支援センター

地域包括支援センターは要介護者・要支援者だけでなく高齢者の公的な相談窓口です。高齢者が抱えるさまざまな相談を受け付け、介護保険をはじめとした医療や福祉等さまざまな情報提供を行っています。
 
地域包括支援センターには、保健師または看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門スタッフを配置し、各種相談や介護予防のケアプラン作成などに応じています。また、要介護(要支援)認定の申請をすることもできます。
 

その他制度

1.高額介護サービス費
介護保険における1ヶ月の自己負担合計額が負担上限額を超えた場合、超過した金額が払い戻しされる制度。負担上限額は、対象者個人の所得や同じ世帯の人の所得によって変わります。高額介護サービス費の対象となった場合は市区町村から通知がきます。
 
2.高額医療・高額介護合算療養費制度
介護保険と健保や国民健康保険(国保)などの医療保険のどちらでも高額費用を支払っている人が対象です。基準額(自己負担限度額)は基本的には1年で56万円ですが、医療保険制度や年齢、所得によって細かく段階で分けられています。
 
3.介護休業給付金
介護者となる家族が仕事を休む場合に給付金をもらうことができる制度です。介護者となる人が1年以上雇用保険に加入していれば、取得可能です。体または精神上の障害で、2週間以上常に介護をしなければならないことが給付の条件となります。
 
これまで介護に必要な基本的に知っておきたいことを見てきました。実際に介護等が必要な状況になったときにどうしてよいかわからないときは、まずは地域包括支援センターに相談してみてください。
 
また、介護付有料老人ホーム等の施設を利用する際には、老人ホームと連携している病院により受け入れや入居後の対応に違いがありますので連携している病院も確認が必要です。介護が必要となったとき、本人やその家族の負担が少しでも軽くなるよう、さまざまな支援を積極的に利用していただければと思います。
 
出典
松戸市 まつどDEいきいき高齢者「介護保険負担限度額認定について」
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)


 

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