更新日: 2020.02.04 介護
一人で暮らす親が心配…介護が必要になったときの高齢者施設にはどんなものがあるの?
介護に関する悩みを最初に相談できる場所として「地域包括支援センター」が各自治体に設置されていますが、ここに相談に行く前に、主な介護施設の概要を確認しておきましょう。
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
CFP(R)認定者、行政書士
宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
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公的施設と民間施設
公的施設は、国の補助金を使って設置・運営されていて、入居者の生計状態によっては補助が受けられます。これに対して、民間施設は、民間事業者が設置・運営しているため、さまざまな特色のあるサービスが用意されていますが、費用は公的施設より高額となります。
費用の安い公的施設は、希望者が多いため入所までの待機期間が長くなる場合がありますので、公的施設の空きが出るまで民間施設を利用する必要がある場合もあります。資産状況と親の身体・精神状態(持病あるのか、認知は問題ないのか、自炊できるのかなど)などを考慮した上で、無理のない利用方法を考えましょう。
各施設の特色
主な高齢者向け施設としては、公的施設は特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設、介護医療院、ケアハウスの4つがあげられます。また、民間施設では介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。それぞれの特徴をみていきましょう。
【各施設の特色】
・特別養護老人ホーム(特養)
重度の要介護者が少ない負担で長期入所して終身介護を受ける施設です。
-身体、精神上の障害のため、常に介護が必要で、家での介護が困難な人が対象。要介護3以上
・介護老人保健施設(老健)
軽度の要介護者が在宅復帰することを目標に、介護を受けながらリハビリを行う短期入所を前提とした施設です。
-まひやけがで入院治療をした後、自立した日常生活が送れるようにリハビリなどを行う施設。医師が常勤しており、原則3ヶ月の入所期間がある。要介護1以上
・介護医療院
医療の必要な要介護高齢者を対象とした長期療養・生活施設です。
-身体介護、医師・看護師による医療的管理やリハビリテーションを行う施設。要介護1以上
・ケアハウス
地方自治体や社会福祉法人が運営する比較的低額な利用料金で、生活の介助やサポートを受けられる施設です。
-身の回りのことは自分でできるが、日常生活を営むことに不安があり、身寄りのない人、または、家庭の事情で家族との同居が困難な人が対象。要介護状態となったときには、介護保険の居宅サービスが利用できる。
・介護付き有料老人ホーム
-介護が必要になったときに、ホームの従業員が介護サービスを提供する施設。要介護1以上の人が入居できる施設と、自立状態でも入居できる施設がある。
・住宅型有料老人ホーム
-食事・清掃など生活支援、健康管理、レクリエーションなどのサービスが受けられる。介護が必要になったときには、本人が在宅サービス事業者と個別に契約する。
・グループホーム
-要支援2以上または要介護1以上の認知症高齢者が入居できる。介護サービス、機能訓練等を受けながら少人数で共同生活をする施設。
・サービス付き高齢者住宅
-有資格者の相談員が常駐し、安否確認と生活相談サービスが受けられる賃貸住宅。介護が必要になったときには、本人が在宅サービス事業者と個別に契約をします。
【特養の費用詳細】
多くの方が入居を希望する特養の利用料は以下のようになっています。
出典:『2019年度介護報酬改定について』(厚生労働省)
*本人が住民税非課税であれば、入居後住民票を特養に移すことで一人世帯となり、世帯全体の住民税は非課税となる。
「特養には資産が多いと入所できない」と誤解している方もいますが、費用の軽減がないだけで入所すること自体は可能です。介護費用は、合計所得金額が160 万円以下の人は自己負担1割、合計所得金額がそれ以上の方は2割または3割負担となります。ただし、これにも高額介護サービス費という軽減措置による上限額があります。
※高額介護サービス費
出典:高額介護サービス費 厚生労働省 リーフレット
住民税課税の方がユニット個室で、高額介護サービス上限額を使った場合の月額利用料は
(居住費2006円+食費1392円)×30日+4万4400円=14万6340円
特養の入所は申し込み順ではなく、入所の必要性の高い方が優先されます。(介護度・家族の同居・介護者等の状況など)そのため、地域によっては要介護3では入所が難しい場合もあるようです。
【個別相談は地域包括支援センターで】
ここで紹介できなかった施設もありますので、介護が必要になったらまずは近くの「地域包括支援センター」で相談しましょう。利用できる施設が分かったら、家計の心配は、介護保険に詳しいFPに相談して無理のない計画を立てるようにしてください。
出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」
厚生労働省「月々の負担の上限(高額介護サービス費の基準)が変わります」
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士