【相談事例】45歳~50歳が老後の資産形成の計画時?子どもなしアラフィフ夫婦の計画見直し

配信日: 2020.10.14

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【相談事例】45歳~50歳が老後の資産形成の計画時?子どもなしアラフィフ夫婦の計画見直し
40歳過ぎに知り合った男性と結婚した会社員A子さん45歳。
夫のBさん50歳はフリーのカメラマン。
結婚して3年目。
 
コロナ禍で時間に余裕ができたのをきっかけに、人生設計を見直しました。
A子さんは初めて夫との夫婦会議で、2人の老後に向き合ってみたのです。
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

復習:話し合いのポイントを整理

夫婦会議で話し合うポイントを絞りました。
1.将来の住まいのこと
2.現在の収支と老後の予測
3.両家の相続問題
4.自分たちの老後について
5.上記を基に「資産形成」の作戦
その中でも、大きな課題は下記の3つです。
 

■問題1:お互いの資産状況がわからない

夫は、毎月3万円×12ヶ月=36万円、定期預金をしていました。しかし、結婚する半年前から、慌てて始めたようで、まだ120万円しか貯まっていませんでした。
妻の方も、預金が100万円、「つみたてNISA」は2018年4月スタート、毎月3万円積み立てをしており、現在86万円弱になっていました。
 

■問題2:住まいの問題

現在は賃貸ですが、将来はどちらかの親の家に住むだろう、という考えでした。そのため、現在は「家賃+駐車場代」で月に20万円の出費です。
ここは2人で悩んでいても仕方がないので、両家にそれぞれ確認することにしました。
 
〇夫の兄弟:本人(長男)と妹2人(結婚して、子供もいる)
〇妻の兄弟:本人(長女)と妹(結婚して子供がいる)

 
夫の親は現在80代前半です。父親は、病気療養中で入退院を繰り返しています。母親の話では「もし、お父さんに何かあったら、この家を売って老人ホームに入りたい」とのこと。夫の実家には住めなさそうです。
 
妻の実家は、昨年父親が他界しており、70代前半の母はひとり暮らし。3LDKのマンションです。母が1人で暮らすには広すぎるので、処分も検討していました。妹さんにも入ってもらい、将来はA子さんが母親と一緒に住むことを条件に、実家に暮らすことを容認してもらえました。その代わり、相続のことは再度話し合うことに。お母さんも含めて、相続対策をする予定です。
 
A子さんは「実家の母がもし“施設に入る”と言ったら、私たち夫婦は住むところに困ってしまった。良かった」とのこと。しかし、将来のことは未知数です。対策は別途しっかりアドバイスをしていきます。
 

■問題3:年金の受給額を知らない

夫は50歳になったので「ねんきん定期便」で見込み金額がわかりました。「年間70万円」ほどでした。一部「未納」があるのと、厚生年金部分が若干ありました。一時、数年間会社員をしていたことがあるそうです。
 
妻はこのまま会社員として働いたとすると、試算表によると「年間100万円」ほどでした。
将来の働き方で、増える可能性はあります。
 
夫は、60歳以降も「任意加入」で「未納」をなくして満額支給にすると「年間80万円」にはなると思います。ここで数字がそろって、計画が立てられてくるかと思われます。
 

課題(ポイント)の方向性

今までアバウトだった方向性に、イメージがでてきました。
 

■将来の住まいのこと

妻の実家に引っ越す。夫も同意しました。夫の母親や妹たちの了承も得ました。夫の実家とも、そう遠くない距離なので、問題なく行き来できそうです。母親も「今は1人を楽しみたい」という理由と、部屋の整理整頓が必要なので、5年くらい先を予定することにしました。
 

■両家の相続問題

これを機に、相続問題も話をすることができました。
 
<夫の実家>
大きな資産は主に自宅。その他、現金と株式があるようでしたが、子供たちが株式をやらないので父親が処分し、そのお金で子供たちは節税効果のある保険に加入することになりました。
 
<妻の実家>
もし、母親に万が一のことがあった場合は、仮に長年介護をしたと仮定して、自宅はA子さんに、A子さんは子供がいないので、その後は妹さんの子供に引き継ぎたい様子。詳細は、一緒に住む時(お母さまが元気な前提)で詰めることになりました。
 
この話し合いで、ご主人がとても安堵(あんど)した様子。「妹は所帯があるので、どうしたら良いかと思ったが、父親が病気なのにしっかり考えてくれて頼もしい」と、喜ばれていました。
 

■自分たちの老後について

50歳の夫と45歳の妻。「老後のお金」といってもピンとこない方が多いと思います。しかし、この年代なら、まだ心身ともに元気なので考えることも改善することもできます。大事です。
 
老後の夫婦の希望は下記のとおりでした。
夫:体が許す限り、趣味の釣りを楽しみたい。年間30万円は趣味に使いたい。
妻:体が許す限り、夫婦で旅行をしたい。年間60万円は旅行費で80歳までかな?
とのことでした。この夢は実現してほしいです。
 

■現在の収支と老後の予測

老後の夫婦の予算を仮に「年間360万円」に設定することにしました。
これからの時代のポイントは「元気に長く働くこと」です。A子さんご夫妻は、何歳まで働く予定でしょうか? 
 
夫:体力的に70歳が限界だと思う
妻:今の会社は60歳定年だけど、働けるなら65歳かな
 
まずは「意思」が大切です。何歳まで働きたいのか、働くのか! もちろん、計画は変わるでしょうが、インテンションを設定することは必要です。
 
<年金>
「老後のお金」に不安がある2人なので、年金の「繰り上げ受給」についてお話をしました。
〇70歳まで繰り下げると、最大42%アップ
〇75歳まで繰り上げると、最大84%アップ
 
「75歳は無理だけど、70歳はなんとかしたい」とのことでした。
 
夫年金額: 80万円⇒114万円
妻年金額:100万円⇒142万円
合  計:256万円
 
上記を仮説で考えると、毎年の不足金額は104万円です。70歳から仮に90歳まで考えてみると、104万円×20年間=2080万円不足します。80歳以降、趣味の分を引いたとしても、何にお金がかかるかわからないので、そのままオンすることにしました。
 

■上記を基に「資産形成」の作戦

この2080万円をどのように貯めたら良いのでしょうか!?
 
今回、お互いの収入を初めて、明らかにしました。
夫:550万円
妻:420万円
生活費:夫婦共通の財布に、「夫:月に25万円」「妻:月に20万円」入れています。固定費で、月に家賃なども含めて、35~40万円出費されるそうです。また、ここまで生活が安定するまでには、さまざまな出費がかさみ、黒字金額は50万円ほど。
 
「これではまずいと思う」とのことでした。
 
<2100万円を20年で作る>
〇3%で運用ができれば…月々 6万3965円
〇2%で運用ができれば…月々 7万1236円
〇1%で運用ができれば…月々 7万9078円
 
<2100万円を10年で作る>
〇3%で運用ができれば…月々 15万278円
〇2%で運用ができれば…月々 15万8228円
〇1%で運用ができれば…月々 16万6469円
 
上記のような資産がでました。
そこで、2段構えで考えることにしました。
 
●夫婦共同生活費:6万6000円⇒つみたてNISA
 ※1人年間40万円の枠を活用
 
●それぞれが別途iDeCoに加入
 夫:月2万円 〇2%で運用 10年間で約260万円
 妻:月2万円 〇2%で運用 15年間で約420万円
 夫:月3万円 定期預金 65歳まで 原資540万円
 妻:月1万円 定期預金 60歳まで 原資180万円
 
仮設:つみたてNISAで2%運用できたとして1945万6591円+iDeCoと定期預金で約3300万円になります。
 
「おそらく、60歳以降は収入が減り、そこまで預金ができないかもしれないが、母親と一緒に住めば預金は可能」とのこと。
 
今回のご夫婦は、退職金が見込めなかったのですが、退職金が見込める場合は、その分、資産形成は楽になりますね。
 

45歳~50歳が『老後の資産形成』の計画時

今回ご紹介した件は「まずはひと安心」となりましたが、まだ不確定要素は残ります。最終的な住まいのことも考えなくてはなりません。体の健康診断と一緒。収支はあくまでも予測です。家族構成や世の中の状況は移り変わるもの。なので、毎年とはいいませんが、2〜3年に一度は試算をすることをお勧めします。
 
また、保険の見直しも今後していきます。
 
〇病気・死亡・長生きリスク
この3つのバランスを考えるために、45歳を過ぎたら『老後のお金』と真剣に向かい合ってください。A子さんご夫妻の感想は「まだ早いかと思いましたが、コロナ渦でいろいろと考えることがでてきました。何もなければ、ぜいたくな支出を続けるところでした」と、大変喜ばれていました。
 
子供がいないご夫婦は、ついつい目先のお金を使いがちですが、思い切って、ご夫婦で話し合いをしてみてください。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士


 

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