更新日: 2021.01.23 介護

おひとりさまの老後準備。介護施設に入るにはいくら必要?

おひとりさまの老後準備。介護施設に入るにはいくら必要?
老後の不安の1つとして介護の問題があります。1人暮らしの人が本格的に介護を必要とする状況になると、介護施設に入ることも考えなければなりません。介護施設にはさまざまな種類がありますが、介護施設に入るとどれぐらいの費用がかかるのでしょうか。介護施設の概要と費用について紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

介護施設には多くの種類がある

高齢者向けの介護施設には多くの種類があります。公的な施設と民間の施設がありますが、主に次の種類があります。
 

介護施設
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 有料老人ホーム
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)

 
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が対象となっています。介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院については、介護のほかに必要な医療や看護が受けられ、要介護1以上の方が対象となっています。要支援1、2の方は利用することができません。
 
有料老人ホームは民間業者が運営する施設で、施設によって入居対象となる方の要介護・要支援の基準が異なります。
 

施設で生活するために必要な費用

介護施設で生活するには費用がかかりますが、全額が介護保険の対象となっているわけではありません。介護保険の対象となるのは介護サービスに関する部分だけであり、それ以外の費用については自己負担となります。
 
介護施設で生活する際にかかる費用として次の種類があります。
 

費用
  • 施設サービス費(介護保険の対象)
  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費

 
施設サービス費は施設で受ける介護サービスにかかる費用で、介護保険の対象となります。個室や多床室(相部屋)といった住環境や、入居者の介護度によって費用が異なり、自己負担は費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)となっています。
 
特別養護老人ホームなどの公的施設では、居住費について個室や多床室の種類ごとにそれぞれ基準費用額(日額)が決められており、食費についても基準費用額(日額)が決められています。
 
施設サービス費以外の居住費や食費、日常生活費は自己負担となります。また、病気などの治療でかかる医療費などについても別途必要です。
 

施設でかかる費用の目安

施設に入居するとどれぐらいの費用がかかるのでしょうか。厚生労働省の介護サービス情報公表システムによると、特別養護老人ホームの例では次のようになります。
 
要介護5の方が特別養護老人ホームの多床室を利用する場合、まず施設サービス費の1割として約2万5000円、居住費として約2万5200円(1日当たり約840円)、食費として約4万2000円(1日当たり約1380円)、日常生活費として約1万円かかるとすると、月合計は約10万2200円となります。
 
ユニット型個室を利用する場合は、居住費が約6万円(1日当たり約1970円)となり、月合計約13万9500円となります。
 
公的施設を利用する場合、介護度5で日常生活費が少ないケースでも、毎月10万円以上の費用がかかることが分かります。
 
ただし、公的施設の場合は利用者負担が過重にならないように、所得の低い方には所得に応じて負担を軽減する措置があります。生活保護者や世帯全員が市町村民税非課税の場合、所得に応じて3段階に分けられ、居住費と食費の負担限度額が設定されています。
 
有料老人ホームなどの民間施設では、施設ごとに居住費や食費が異なります。毎月約10万円のケースもあれば、30万円以上かかるケースもあります。また、有料老人ホームでは、入居一時金の前払いが必要な施設もあり、入居一時金と月額の両方の確認が必要です。入居を検討する場合には事前に調べておきましょう。
 
介護施設に入ると毎月一定の費用がかかり、介護状態で長生きするとその期間も長くなります。年金受給額や貯蓄が少ない場合は、公的施設や利用料の安い有料老人ホームを中心に候補を探す必要があるかもしれません。
 
自分がどのような介護サービスを受けたいかを考え、老後の収入や貯蓄を確認して、介護に対する希望とお金の面の両方からチェックしましょう。
 
出典・参考
厚生労働省 介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて
厚生労働省 介護サービス情報公表システム サービスにかかる利用料
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
 

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