更新日: 2019.07.19 介護

今年で40歳、介護保険料の徴収が始まるけど、いつから保険料が引かれるの?

執筆者 : 井上美鈴

今年で40歳、介護保険料の徴収が始まるけど、いつから保険料が引かれるの?
介護保険は、40歳以上の国民が納める「介護保険料」と国・県・町が負担する「公費」を財源として運営される制度です。40歳以上の人はすべて、介護保険に加入して被保険者となります。
 
40歳になれば自動的に介護保険料が徴収されますが、その具体的な支払時期や方法、仕組みを知らない方が多いのではないでしょうか。
 
井上美鈴

執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)

ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表

~シングルマザー・子育て世代にお金の話をわかりやすく伝えるFP~
家計管理・公的制度の紹介・教育費や老後資金の貯め方・奨学金・投資などすぐに役立つお金の話」を分かりやすく伝えるFP。
 
漠然としたお金の不安を感じる時間をなくし、「子育てという限られた貴重な時間」や「自分自身が望む豊かな時間」を大事にしてもらいたいという思いで活動している。
 
離婚後3年で教育資金を貯めた、自らのシングルマザー体験が強み。
 
金融機関(証券会社・銀行)・公立学校事務員・派遣会社コーディネーター等のさまざまな仕事を経験。現在、大学生の子どもを育てるシングルマザー。
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今年40歳。いつから保険料を引かれるの?

介護保険制度は、高齢化社会において必要となる介護を充実し、社会全体で高齢者を支える制度で、市区町村により運営されます。すべての人は40歳に達したときから介護保険料を拠出して被保険者となります。
 
被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類に分かれています。
 
第1号被保険者・・・・65歳以上
住所地の市区町村に保険料を納め、介護が必要になった際はその市区町村から介護サービスを受けます。基本的には、年金から天引きされます。
 
第2号被保険者・・・・40歳以上65歳未満
加入している医療保険の保険者(健康保険組合・共済組合・国民健康保険組合など)の規定に基づいた金額を、医療保険の保険料と一緒に支払います。
 
「40歳に達したとき」とは、40歳の誕生日の前日を指し、その月から介護保険の第2号被保険者となります。例えば、7月1日生まれの人は、前日の6月30日が「40歳に達したとき」となり、6月分から被保険者となります。その拠出は、翌月となります。
 
民間企業の社員や公務員は、健康保険料・共済組合保険料と一緒に支払います。
 
この場合、39歳以下の夫の扶養に入っている配偶者が40歳以上の場合、配偶者は第2号被保険者となりますが介護保険料は徴収されません(健康保険組合によっては、「特定被保険者」として保険料を徴収される場合もあります)。
 

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なぜ40歳から負担するのでしょうか?

なぜ介護保険料の負担は40歳からなのでしょうか。
 
厚生労働省のパンフレット(※1)によると、「40歳から64 歳の方については、ご自身も老化に起因する疾病により介護が必要となる可能性が高くなることに加えて、ご自身の親が高齢となり介護が必要となる状態になる可能性が高まる時期であり、また老後の不安の原因である介護を社会全体で支えるためにも、保険料をご負担いただいています。」と説明されております。
 

保険料はどのくらい?

保険料は、第1号被保険者(65歳以上)か第2号被保険者(40歳から65歳未満)かによって変わります。
 
・第1号被保険者(65歳以上)
世帯の課税状況および本人の前年の所得に応じて決まり、市区町村の定める基準額と保険料率をかけて算出されます。
 
・第2号被保険者(40歳以上65歳未満)
加入している医療保険の保険者によって変わります。
 
・健康保険加入者
健康保険組合や共済組合の保険料の計算方法は、給与(報酬)や賞与に介護保険料率をかけて算出され、事業所と被保険者の折半です。
支払いは、健康保険の保険料と一緒に天引きされます。
 

介護保険料=標準報酬月額(標準賞与額)×介護保険料率

 
標準報酬月額とは、給与などの報酬を段階分けしたもので、通勤交通費や残業代も含まれます。標準賞与額とは、3ヶ月を超える期間の賞与から千円未満を切り捨てたものです。 介護保険料率は健康保険組合によって異なります。
 
例えば、健康保険組合の一つである協会けんぽの介護保険料率は、平成31年3月分は1.73%となっています(※2)。
 
・国民健康保険加入者
市区町村ごとに、所得割、均等割、平等割、資産割の4つの組み合わせで計算され、介護保険料率も異なります。国民健康保険加入者には、労使折半がありません。
 

介護保険料 = 所得割 + 均等割 + 平等割 + 資産割

 

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40歳から利用できるサービスは?

介護保険は、65歳以上でないとサービスの利用ができないと思われがちですが、そうではありません。
 
65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者とでは、利用できる条件や内容が多少異なってはいますが、基本的には40歳に達して加入した時から利用することが可能なものです。
 
第2号被保険者にサービスが適用されるのは、老化が原因とされる特定の疾病(下表)によって、介護や支援が必要と認められる状態になった場合です。例えば、交通事故の後遺症などは対象になりません。
 

(※1)より抜粋
 
第1号被保険者になると、上記の原因に限らず、介護や支援が必要と認められれば常にサービスが受けられます。40代の人は、介護はまだまだ先のことと思っているかもしれません。
 
しかし、厚生労働省の調査(※3)によれば、若年性認知症(発症年齢と調査時点の年齢がいずれも65歳未満)の方は約3万7800人と報告されています。推定平均発症年齢は51歳です。決してひとごとではありません。また、あなたのご両親も介護が必要になるかもしれません。
 
介護保険料は、40歳になったら自動的に給料などから徴収されて、一生涯支払っていくものです。
 
高齢化の進む日本では、介護を社会全体で支え合い、いざという時には頼りになる、なくてはならない制度です。仕組みを理解して支払い、必要に応じて介護サービスを利用し有効活用していきましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省 介護保険制度について
(※2)全国健康保険協会 協会けんぽの介護保険料率について
(※3)厚生労働省 若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について
 
執筆者:井上美鈴
ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表