更新日: 2021.02.24 介護

もし親に介護が必要になったら、費用はどう準備すればいい?

執筆者 : 柴沼直美

もし親に介護が必要になったら、費用はどう準備すればいい?
65歳以上の人口構成が4分の1以上を占める超高齢化社会。
 
今、働き盛りの現役世代の方は親御さんの介護のことと同時に、自分に介護が必要になった時のことが気になりますね。いざ要介護状態になった場合に必要な介護費用は、どうやって誰が準備するのか整理したいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

介護が必要になったらすぐ申請が基本

親御さんで、介護が必要になったと判断した場合にはすぐに申請しましょう。年金と同様で「自分たちでは対応が難しい」という状態になっても、自動的に介護保険が適用になるわけではなく、地域の行政から認定してもらわなければなりません。
 
今回は、この申請の手続きについては触れませんが、要介護認定の決定が下りるまでの間は基本的に、金銭的・物理的な支援は自分たちで手配しなければなりません。
 

家族信託か成年後見制度か

介護認定が下りるまで自分たちでカバーするといっても、「誰が」負担するのかというのは大きな問題です。あらかじめ、家族信託などで「判断能力がなくなった場合には、親族の誰かが財産の管理をする」という取り決めをしていれば、少なくとも金銭的な負担は比較的スムーズに親御さんの財産から手当てできます。
 
しかし、家族信託には親御さんの同意が必要ですから、「まだ早い」などと先送りしているうちに突然介護が必要になったとしても、介護費用を親御さんの財産から動かすことは基本的にはできません。
 
子ども世代も自分たちの家計運営で余裕がなく、介護認定もまだうけられないという場合は、成年後見制度を使って司法書士など第三者に財産を管理してもらうという方法をとることになります。
 

成年後見制度は手間もかかり外部委託すれば報酬の支払いも発生

成年後見制度を採用すると、後見(保佐・補助)開始の審判の申し立てを行い、後見人等候補者の調査・選任の審判を経て、誰が後見人になるかの決定をするという面倒な手続きを行わなければなりません。
 
これらの審判・登記には家庭裁判所が関与し、親族が後見人になることも可能ですが、毎年、親御さんの財産目録や収支管理を報告しなければならないという手間がかかります。
 
仮に、司法書士など第三者が後見人ということになると、親御さんの保有財産によって月額2万~5万円と報酬を支払うことになります。
 

後見・家族信託を使わないならば介護者が負担

これらの方法をいずれも選択しない場合で、親御さんが自分で財産を管理できないと判断された場合は、財産を動かすことはできませんので、介護者が負担するしかありません。
 
その間に介護認定が下りた場合、要介護度によって上限金額が異なり、その金額の範囲内であれば1割負担です。介護保険で30万円相当までが1割負担となれば、3万円は自己負担ということです。超過した分については、自己負担になります。これらを介護者が肩代わりすることになります。
 
ただし、これらの負担は、親御さんの相続が発生した場合には、金銭請求権が認められるようになりましたので、記録を残しておくとよいでしょう。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
 

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