更新日: 2019.01.10 国民年金

キーワードは『いつ』『どのように』 年金をしっかりもらう為のルール

執筆者 : 井内義典

キーワードは『いつ』『どのように』 年金をしっかりもらう為のルール
老齢年金を受給できる年齢に達し、受給の権利がある人が請求手続きをすると、実際に年金の支給が開始されます。そこで、老齢年金の支給のルールや流れについて2回に分けて取り上げます。
第1回目の今回は、まず年金の権利の発生日と支給対象となる月、実際に支払が行われる日などについて述べたいと思います。
井内義典

Text:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

権利発生日は誕生日の前日

老齢年金の受給資格を満たした人は、繰上げ受給する場合は別として、生年月日に応じて定められた支給開始年齢に到達した日に権利が発生します。そして、その権利が発生した日の翌月分から受給できることになります。
 
老齢年金は、ある年齢への到達によって権利が発生することとなりますが、法律上年齢は誕生日の前日に1つ上がります(年齢計算ニ関スル法律)。
例えば、62歳で特別支給の老齢厚生年金を受給できる昭和31年3月2日生まれの男性の場合、62歳に到達するのは平成30年3月1日になり、この62歳に到達した日に年金受給の権利が発生し、翌4月分から受給できることになります(図表1参照)。
 


 
そうなると、各月の1日が誕生日の人は、その前月末日に年齢が1つ上がることになり、その翌月である誕生日の月分から支給されることになります。昭和31年3月1日生まれの男性の場合であれば、平成30年2月28日に62歳に到達し、平成30年3月分からが支給の対象となります(図表2参照)。
 

 

年金は「偶数月に後払い」というのが基本ルール

実際の年金の支払はどのような流れになるのかというと、原則として、2カ月に1回、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日にその前月分までが指定の口座に振り込まれて支給されます(図表3参照)。
 
つまり、後払いにより支払われることになります。もし、15日が土日祝日で金融機関のお休みの日の場合は、14日などその直前の営業日に振り込まれます。
 


 
ただし、年金を受け取るためには請求手続きを行っている必要があります。年金をもらえる年齢に達したからといって、自動的に支給されるようになるわけではありません。
 
また、請求手続きをしても、初回分の振込については、図表3の本来の支給日に間に合わないこともあり、それよりあとの月になって振り込まれることもあります(その場合、偶数月ではなく、奇数月の15日に振り込まれることもあります)。
 
なお、年金の受給の時効は5年となっています。
 
権利発生から年月が経過して遅れて手続きをしても、本来の支払日が過ぎてまだ受け取っていない年金を一括で受け取ることもできます。しかし、5年を過ぎて初めて請求手続きを行うと、本当は受け取れるはずだった年金が受け取れないこともありますので、注意が必要です。
 
Text/井内義典(いのうち・よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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