2018.12.25 年金

年金のこれってなんだろう?(1) 65歳からの年金と経過的加算額の意味

執筆者 : 井内義典

国民年金・厚生年金加入中の人には、毎年誕生月(1日生まれの人はその前月)に「ねんきん定期便」が送られますが、50歳以上の人の「ねんきん定期便」には、老齢年金の種類ごとに将来の受給見込額が表示されています。
 
その中で、65歳以降の老齢厚生年金の内訳として経過的加算部分の金額が表示されている方がたくさんいます。
 
「報酬比例部分は何となくわかるけど、経過的加算とは一体何だろう」と思うかもしれません。この経過的加算額(別名、差額加算と言われています)について、全4回に渡って取り上げます。
 

65歳以降の年金の内訳

65歳以降の老齢年金は【図表1】のとおりで、まず、国民年金から老齢基礎年金が支給されます。国民年金に20歳から60歳まで加入し、40年(480月)の保険料の納付期間があれば、満額の779,300円(平成30年度の場合)が受けられることになります。
 
納付期間には、国民年金第1号被保険者として月額(平成30年度:16,340円)の国民年金保険料を納付した期間だけでなく、厚生年金被保険者(国民年金では第2号被保険者期間)として厚生年金保険料を負担した期間、扶養に入っていた期間(国民年金第3号被保険者期間)も含まれます。
 
一方、厚生年金保険制度から支給される年金として老齢厚生年金の報酬比例部分があり、厚生年金加入中の給与や賞与の額に応じて計算されることとなっています。
 
厚生年金加入が長く、給与や賞与が高ければ厚生年金保険料も多く負担する一方、その分受け取る年金も多くなる仕組みとなっており、こちらが老齢厚生年金の本体とも言える部分となっています。
 
そして、老齢厚生年金には報酬比例部分以外にもう1種類、今回の本題となっている経過的加算額があります。
 

 

厚生年金加入年齢と経過的加算額

経過的加算額とはどのような年金でしょうか。
 
20歳から60歳まで会社員として厚生年金被保険者・国民年金第2号被保険者になって厚生年金保険料を負担すると、将来の老齢厚生年金の報酬比例部分と老齢基礎年金の2つの年金の額が増えることになっています。
 
一方、20歳前や60歳以降の厚生年金加入については、報酬比例部分は増えても老齢基礎年金は増えないことになっています。そうなると、20歳前や60歳以降に厚生年金に加入しても報酬比例部分しか増えないことになるのかと思うことでしょう。
 
しかし、20歳前と60歳以降の厚生年金加入の場合については、老齢基礎年金は増えませんが、その代わりに経過的加算額が増えることになります(【図表2】)。
 

 
経過的加算額は、報酬比例部分と性質が異なり、給与や賞与の額に応じてその受給額が決まる年金ではありませんが、厚生年金加入月数によっては受給額が変わります。具体的な計算方法は次回述べる予定ですが、増えない老齢基礎年金の穴埋めを行う年金と言えるでしょう。
 
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。