更新日: 2019.07.04 その他年金

農家の人のための年金制度・農業者年金(1)-農業者年金に加入できる人とは?-

農家の人のための年金制度・農業者年金(1)-農業者年金に加入できる人とは?-
食を支える農家の人。勤めていた会社を退職して、これから農業を始めようとしている人もいるかと考えられます。しかし、「厚生年金に入っている会社員と比べると、将来の年金が少なくなりそう」と気になることでしょう。
 
農業に従事する人向けに農業者年金という制度があります。この農業者年金について、今回と次回、全2回に渡って取り上げます。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

農業者年金の特徴

農業者年金はその名の通り、農業従事者向けの年金制度で、独立行政法人農業者年金基金によって運営されています。
 
会社員であれば、将来、全国民共通で1階部分の基礎年金(国民年金)に加え、2階部分の厚生年金も受け取ることができますが、農業に従事している国民年金第1号被保険者の人は、会社員のように厚生年金被保険者になることができず、その分、将来、厚生年金を受け取れません。
 
しかし、第1号被保険者である農家の人が、月額1万6410円(2019年度月額)の国民年金保険料を納め、さらに農業者年金に加入して農業者年金の保険料も納めれば、上乗せの年金が受けられることになります(【図表1】)。
 

 
2002年1月以降に加入した場合の現行の農業者年金は、現役世代の保険料で現在の年金受給者の給付に充てる「賦課方式」ではなく、自身の将来のために保険料を積み立て、その運用益で受け取る年金額が決まる「積立方式・確定拠出型」となっています。
 

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農業者年金に加入できる人

この農業者年金に加入できる人は、国民年金の第1号被保険者(国民年金保険料の免除を受けている人を除きます)で、年間60日以上農業に従事する60歳未満の人となっています。
 
対象が第1号被保険者ですので、農業法人で厚生年金被保険者・国民年金第2号被保険者となっている人は、農業に従事する人であっても加入できません。第1号被保険者であれば、農業経営者自身はもちろん、その配偶者や家族で農業に従事している人も加入することができます。
 
ただし、第1号被保険者であっても、他の上乗せ制度である国民年金基金や個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人については、農業者年金に加入することはできません(【図表2】)。
 

 
また、国民年金は20歳から60歳まで加入義務がありますが、農業者年金は加入も任意で、脱退も自由となっています。
 
農業者年金の加入・脱退については、農業者年金基金の委託を受けた農業協同組合(JA)等に手続が必要ですが、一度脱退した人も、加入要件を満たしていれば再び加入することができます。
 
ただし、農業者年金に加入する人は国民年金の付加年金にも加入する必要があります。付加年金とは、国民年金の老齢基礎年金に加算される年金で、第1号被保険者を対象とした本来加入が任意の制度ですが、農業者年金に加入した場合は、付加年金への加入義務があります。
 
月額400円の付加保険料の納付が必要となり、1月納付につき、将来付加年金が年額200円受給できることになります。付加年金については市区町村で手続が必要です。
 

農業者年金の保険料

農業者年金に加入した人の、農業者年金としての月額保険料は、2万円から6万7000円までの間で、1000円単位で選択・変更することができます。
 
また、保険料の納付が難しい場合、(1)40歳未満で今後農業者年金へ20年以上の加入が可能であること、(2)農業所得(配偶者、後継者については支払いを受けた給料等)が900万円以下であること、(3)一定の要件を満たした認定農業者で青色申告者であること、いずれも満たせば、保険料について最大5割の国庫補助を受けることもできます。
 
保険料については、農業経営の状況に応じて、柔軟に決められると言えるでしょう。なお、納付した保険料については、税制上、全額社会保険料控除として控除を受けることができます。
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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