更新日: 2019.07.31 国民年金
基本をおさらい!国民年金の被保険者とは?(3)-第3号被保険者について-
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
第3号被保険者となるための要件
第3号被保険者は、第2号被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の人となっています。会社員や公務員、私学教職員に扶養されている専業主婦・主夫、パートタイマーが該当します。
その配偶者には法律婚だけでなく、事実婚の配偶者も含まれます。第3号被保険者となるかは健康保険の被扶養者の基準によって判定されます。妻が第3号被保険者となる場合、原則、妻の年収が130万円未満で、第2号被保険者である夫の年収の2分の1未満であることが条件となっています。
ただし、年収130万円未満のパートタイマーでも、自身で第2号被保険者になる場合は、第3号被保険者になれません。
前回述べた、一定の要件で、大企業(従業員501人以上)に賃金月額8万8000円(年収106万円)以上で勤務するような場合は、たとえ130万円未満であっても、自身で厚生年金被保険者・国民年金第2号被保険者となります。
なお、第3号被保険者は1986年4月以降の制度となります。「1986年3月以前の期間も専業主婦だったのに第3号被保険者になっていない。」と思っても、当時は、専業主婦も国民年金に任意で加入して保険料を納める時代で、第3号被保険者制度はありません(【図表1】)。
また、2020年4月より、健康保険の被扶養者は、原則、日本国内に住所があることが条件となり、これに合わせて、国民年金の第3号被保険者にも国内居住要件が加わります。
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第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養配偶者
第1回目で述べたように、第1号被保険者の配偶者である人は、第2号被保険者の被扶養配偶者でありませんので、第1号被保険者になり、自営業者の配偶者である専業主婦・主夫は第1号被保険者となります。
そして、会社員が退職した場合も、退職時にその配偶者が60歳になっていなければ、それまで第3号被保険者だった配偶者はそれ以降60歳まで第1号被保険者となります(【図表2】左)。
第2回目で、65歳で老齢年金を受給する権利がある場合、65歳以降在職して厚生年金被保険者であっても、国民年金第2号被保険者にならないことを述べました。この場合も、60歳未満の配偶者は第3号被保険者になることはできません。
専業主婦であっても第1号被保険者として、60歳まで国民年金保険料(2019年度月額:1万6410円)を納付する必要があります(【図表2】右)。夫婦に歳の差がある場合は要注意です。健康保険は引き続き扶養に入れていても、年金制度では扶養に入れない点を理解しておく必要があるでしょう。
第3号被保険者期間中は、自身で保険料の負担はありませんが、保険料を納付した期間(保険料納付済期間)として、将来の年金の受給資格が判定されたり、年金額が計算されたりします。ただし、当該第3号被保険者期間分で計算される老齢年金は、老齢基礎年金のみとなります。
また、第3号被保険者は、上乗せの年金制度として個人型確定拠出年金には加入できても、第1号被保険者のように付加年金や国民年金基金、農業者年金(農業従事者向け)には加入できません。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー