公開日:2019.08.10 年金

「遺族年金がもらえない」ケースとは?遺族年金について解説

遺族年金は、国民年金や厚生年金保険(共済組合)に加入している方が亡くなった時に、遺族が受けることのできる年金です。亡くなった方がサラリーマン(公務員)か自営業か、また、遺族の収入などにより支払われる期間や条件も変わってきます。
 
受給できるパターンとできないパターンを押さえて確認していきましょう。
 
井上美鈴

執筆者:

執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)

ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表

~シングルマザー・子育て世代にお金の話をわかりやすく伝えるFP~
家計管理・公的制度の紹介・教育費や老後資金の貯め方・奨学金・投資などすぐに役立つお金の話」を分かりやすく伝えるFP。
 
漠然としたお金の不安を感じる時間をなくし、「子育てという限られた貴重な時間」や「自分自身が望む豊かな時間」を大事にしてもらいたいという思いで活動している。
 
離婚後3年で教育資金を貯めた、自らのシングルマザー体験が強み。
 
金融機関(証券会社・銀行)・公立学校事務員・派遣会社コーディネーター等のさまざまな仕事を経験。現在、大学生の子どもを育てるシングルマザー。
https://lifesinfonia.com

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井上美鈴

執筆者:

執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)

ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表

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漠然としたお金の不安を感じる時間をなくし、「子育てという限られた貴重な時間」や「自分自身が望む豊かな時間」を大事にしてもらいたいという思いで活動している。
 
離婚後3年で教育資金を貯めた、自らのシングルマザー体験が強み。
 
金融機関(証券会社・銀行)・公立学校事務員・派遣会社コーディネーター等のさまざまな仕事を経験。現在、大学生の子どもを育てるシングルマザー。
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遺族年金とは?

年金には、老齢年金の他に、「障害年金」と「遺族年金」があります。年金に加入している人が亡くなった場合に支給されるのが、これから説明する遺族年金です。
 
遺族年金は、さらに「遺族基礎年金」と会社員や公務員対象の「遺族厚生年金」の2種類に分けられ、それぞれ支給の要件が異なります。
 

遺族基礎年金と遺族厚生年金の要件の違い

遺族年金を受け取るためには、「亡くなった人の要件」「遺族として認められる要件」「保険料の納付要件」の3つを満たす必要があります。具体的な内容は、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なります。
 
●遺族基礎年金
 

1.亡くなった人の要件

(1)国民年金の被保険者
(2)国民年金の被保険者であった者で日本国内に住所のある60歳以上65歳未満の人
(3)老齢基礎年金の受給権者
(4)老齢基礎年金の受給資格期間(25年以上)を満たしている人
 

2.遺族として認められる要件

亡くなった方に生計を維持されていた、
(1)子のある配偶者
(2)子
 
ここで言う「子」は、18歳到達年度の末日までの子と障害等級1級か2級にある20歳未満の子です。
 
「生計を維持される」とは、同居しており、かつ(遺族の)前年の収入が850万円以下、または所得が655万5000円以下であること。別居状態でも、仕送りを受けている、健康保険の扶養親族などであれば遺族として認められます。
 

3.保険料の納付要件

1の亡くなった人の要件の(1)・(2)に該当している場合は、以下の、保険料の納付要件を満たすことが必要です。
 
亡くなった日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ保険料滞納期間が3分の1を超えていない。(納付免除期間は除く)
 
●遺族厚生年金
 

1.亡くなった人の要件

(1)厚生年金保険の被保険者
(2)被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に亡くなった人。
(3)障害厚生年金の受給を受けられる障害等級1級または2級の人。
(4)老齢厚生年金受給者または受給資格期間を満たしている人
 

2.遺族として認められる要件

生計を維持されていた(1)~(4)の先順位者。
 
(1)配偶者(夫は55歳以上)、子(18歳到達年度末日まで、また障害等級1級または2級に認定されている場合は20歳未満)
(2)父母(55歳以上)
(3)孫(子と同じ)
(4)祖父母(55歳以上)
 
妻以外には年齢制限があり、30歳未満の子のない妻は、5年間だけの給付になります。子と孫については、婚姻していると遺族と認められません。
 

3.保険料の納付要件

遺族基礎年金の納付要件と同じ
 

具体的なもらえないケースとは?

例1

・家族構成…夫(A彦)、妻(B子)、息子(C男)
・A彦…66歳で死亡、65歳から老齢基礎年金を受給(60歳まで自営業)
・B子…66歳、専業主婦、夫と同居
・C男…23歳、会社員、実家で両親と同居
 
→A彦さんは老齢基礎年金を受給していたため、遺族基礎年金の要件(3)に該当しています。しかし、C男さんが18歳以上のため「子」の要件に該当しておらず、従ってB子さんも「子のある妻」に該当しないため、遺族基礎年金を受給することはできません。自営業だったため、遺族厚生年金も対象外。
 

例2

・家族構成…夫(D男)、妻(E子)、息子(F男)
・D男…45歳で死亡、会社員
・E子…45歳、5年前にD男と離婚
・F男…22歳、大学生、E子と生活
・上記の他、父母・孫・祖父母は存在しない
 
→F男さんは18歳以上なので遺族基礎年金の要件に該当しません。E子さんもすでに離婚しているため「妻」にあたらず、その他の順位者も存在しないため遺族厚生年金にも該当しません。
 

例3

・家族構成…夫(G夫)、妻(H美)、息子(I夫)、夫の愛人(Y子)、愛人の娘(Z子)
・G夫…55歳で死亡、会社員
・H美…54歳、10年前から夫と別居し経済的援助も受けていない
・I夫…21歳
・Y子…36歳、G夫と同居しており、事実婚状態
・Z子…5歳、G夫からの認知を受けている
 
→重婚的内縁関係の場合、原則として、届け出による婚姻関係にあった者が受給資格者となるものとされています。ただ、届け出による婚姻関係が形骸化し、その状態が近い将来に解消される見込みがない場合に限り、「事実上の婚姻関係にあった者」が受給資格者となることがあります。
 
そのような前提で考えた場合、妻H美さんは遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれも受給できません。戸籍上の子であるI夫も18歳以上のため遺族基礎年金の対象外で、遺族厚生年金に関しても生計維持関係にないため受給できないと考えられます。
 
一方、Y子さんは事実婚状態で18歳未満の子どもがいるため、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給資格があるといえます。
 

もらえなかったとしても寡婦年金や死亡一時金がある

遺族基礎年金は、原則、子のある配偶者を対象としているため、もらえないケースも多いです。しかし、もらえなかったとしても寡婦年金という制度があります。これは、生計維持関係にある60歳~65歳未満の結婚生活(事実婚含む)が10年以上ある妻に支給されます。また、寡婦年金にも該当しない場合は、国民年金独自の死亡一時金が支払われます。
 
このように、遺族年金は複雑で分かりにくい面があります。
 
現時点で遺族年金を受け取るために必要な3つの要件を満たしていなくても、保険料免除制度や任意加入等を利用するなど、気づいた時からできる対策はいろいろとあるのです。自分の家族の場合はどうなるかを事前に調べておくことは、とても重要と言えるでしょう。
 
出典:日本年金機構「遺族年金」
 
執筆者:井上美鈴
ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表

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