公開日:2019.08.26 年金

夫に先立たれ、もうすぐ再婚します。遺族年金がもらえなくなるって本当ですか?

夫に先立たれて遺族年金を家計の一部とすることもあるでしょう。ですが、その後の環境の変化(結婚や養子縁組など)により、遺族年金を受ける権利を失うことがあります。具体的にどのような場合に失権するのか、見ていきましょう。
 
※本稿で記す「子ども」とは18歳未満を指します。
 
秋口千佳

執筆者:

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

秋口千佳

執筆者:

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

子どものいない妻が再婚した場合

子どものいない妻は、夫に先立たれると遺族厚生年金を受給できますが、遺族基礎年金は受給できません。
 
(ここでは厚生年金に加入していた夫を前提にしますので直接は関係ありませんが、夫が自営業者等の国民年金加入者の場合、厚生年金保険を掛けていないため、子どものいない妻は夫に先立たれても遺族年金による収入がありませんので、念のため書き添えておきます)
 
その遺族厚生年金は、受給していても再婚をすると失権します。考え方としては、元夫との関係が完全になくなるということを意味します。そのため、万が一、再婚相手と離婚することとなっても再び元夫の遺族厚生年金を受給することはできないので、覚えておいてください。
 
さらに、年金は社会保障の1つである、という考え方から、再婚という法律的行為だけではなく、内縁や事実婚によっても失権します。
 
内縁や事実婚だから届け出をする必要はないと思い込み、失権の手続きをしないと不正受給となり、受給した金額の返金と罰金の支払い義務が生じるので、注意してください。
 

子どものいる妻が再婚した場合

子どものいる妻は夫に先立たれると、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できます。この場合、母親に扶養される子どもではなく、その母親(=妻)に支給されます。
 
その妻は再婚すると、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給資格を失います。優先的に受給していた妻(母)の失権により、代わりに子どもが遺族基礎年金、遺族厚生年金とも受給できるようになります。
 
ただし子どもは、再婚したその母と生計を同じくする場合、遺族基礎年金は支給されず、遺族厚生年金のみ受給が始まります。
 

子どものいる妻が再婚、かつ、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合

では、妻が再婚し、子どもがその再婚相手と養子縁組をした場合は、どうなるのでしょうか。結論はすぐ前のケースと同じです。妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金を失権し、子どもは遺族厚生年金のみ受給できます。
 
基本的には、養子縁組によって子どもの受給権は失権するのですが、直系姻族との養子縁組の場合は、失権しません。
 

子どものいる妻が再婚、かつ、子どもは祖父母が預かる場合

さらに、妻が再婚し、かつ、子どもは祖父母が預かり別生計となる場合、または、子どもは祖父母と養子縁組をする場合も考えられます。
 
こちらも結論を先に記すと、妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれも支給停止となります。一方で子どもは、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できます。
 
祖父母に預けられ、妻と生計を別にしている子どもは、生計を同じくする母がいないケースに該当するため、遺族基礎年金と遺族厚生年金のどちらも受給できるようになるのです。「別生計である」という、しっかりとした線引きが大きな意味を持ちます。
 

女は強し

死亡保険の加入の相談を受けたときにする話があります。「夫に先立たれても子どもがいる妻は比較的早くに再出発できるようですが、妻に先立たれた夫はそうはいかないものです。再出発までの時間に必要な保障額も考えておきましょう」
 
話が急に変わりましたが、そうはいっても夫に先立たれた妻だって、実際にはその状況下では、すぐに将来のことを考えるのは容易ではありません。ましてや子どもがいれば、将来に不安を覚えるかもしれません。
 
しかしながら、妻自身にも人生があります。将来があります。夫に先立たれても、自分の人生をまっとうしなければなりません。そのため、後のことを考えて新たな人生を歩むこともあるでしょう。
 
そのようなとき、もらっている遺族年金がどのようになるかを知っておくことは大切です。もし自分がもらっている遺族年金がどのようになるのか気になる方は、全国に日本年金事務所の窓口があるので、そちらで相談されると良いでしょう。
 
そこでの相談が、人生を前へ進めてくれると思います。
 
出典
日本年金機構「日本年金事務所の全国の相談・手続き窓口」
e-Gov電子政府の総合窓口「国民年金法」
e-Gov電子政府の総合窓口「厚生年金保険法」
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

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