更新日: 2021.06.22 その他年金

2019年10月から「年金生活者支援給付金制度」が開始。対象者と給付額をチェックしよう!

執筆者 : 上山由紀子

2019年10月から「年金生活者支援給付金制度」が開始。対象者と給付額をチェックしよう!
2019年10月より、消費税率が8%から10%に引き上げられます。消費税には標準税率と、新たに軽減税率が設けられ、税率が2種類となります。この消費税率引き上げ分を活用して、「年金生活者支援給付金」(※)が給付されることになりました。
 
年金を受給していても、所得が低い方を支援するため、給付金として年金に上乗せして支給されます。2019年12月中旬に初回の支払い(10月分・11月分)となります。どのような内容なのか見ていきましょう。
 

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上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

給付金の対象となる人はどんな人?

年金生活者支援給付金の種類は、大きく分けて4つになります。「老齢年金生活者支援給付金」、「補足的老齢年金生活者支援給付金」、「障害年金生活者支援給付金」、「遺族年金生活者支援給付金」です。
 
この給付金は非課税となります。では、支給要件と計算方法を見ていきましょう。
 
<老齢年金生活者支援給付金の要件>
1.65歳以上の老齢基礎年金を受けている。
2.前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が、老齢基礎年金満額相当(約78万円)(※2)以下である。
3.同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
 ※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない。
 ※2 毎年度、老齢基礎年金の額を勘案して改定。令和元年度は77万9300円。
 
<補足的老齢年金生活者支援給付金の要件>
1.65歳以上の老齢基礎年金を受けている。
2.同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
3.前年の年金収入額とその他の所得額の合計が87万9300円以下である。
 
例えば、前年の年金収入額が年額72万円で給料が年間80万円の方の場合は、給料の所得額の計算が、80万円から給与所得控除額65万円を差し引くと、その他の所得額は15万円です。前年の年金収入額72万円とその他の所得額15万円の合計が87万円となり、給付金を受けることができます。
 
下図は老齢年金生活者支援給付金の前年の年金収入額とその他の所得の合計額を示したものです。
 

※出典 厚生労働省「年金生活者支援給付金について」
 

【老齢年金生活者支援給付金の計算方法】

老齢年金生活者支援給付金の額は、月額5000円を基準に、保険料納付済期間等に応じて計算され、次の(1)と(2)の合計額となります。(基準額は毎年度、物価変動に応じて改定されます。)
 
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
 =5000円(※3)×保険料納付済期間/480月
 
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
 =1万800円(※4)×保険料免除期間/480月
※3毎年度、物価変動に応じて改定
※4老齢基礎年金満額(月額)の6分の1(保険料全額免除、4分の3免除、半額免除期間の場合)ただし、保険料4分の1免除期間の場合は、老齢基礎年金満額(月額)の12分の1(約5400円)
 
下図は(1)と(2)の計算をまとめたものです。参考にしてください。
 

※出典 厚生労働省「年金生活者支援給付金について」
 
赤枠で囲った360月の部分を例として見てみると、計算式は以下のようになっています。
(1)5000円×360月÷480月=3750円・・・保険料納付済期間
(2)1万800円×120月÷480月=2700円・・・保険料全額免除期間
(3)5万6875円・・・老齢基礎年金額(月額)
(4)6万3325円・・・老齢基礎年金額+給付金額(月額)
 
<障害年金生活者支援給付金の要件>
1.障害基礎年金を受けている。
2.前年の所得額が「462万1000円+扶養親族の数×38万円(※5)」以下である。
※5 同一生計配偶者のうち、70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円。
 

【障害年金生活者支援給付金】

障害等級が2級の方は月額5000円、1級の方は月額6250円となります。(毎年度、物価変動に応じて改定されます。)
 
<遺族年金生活者支援給付金の要件>
1.遺族基礎年金を受けている。
2.前年の所得額が「462万1000円+扶養親族の数×38万円(※6)」以下である。
※6 同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円。
 

【遺族年金生活者支援給付金】

月額5000円となります。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受けている場合は、5000円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。
 

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給付金を受け取るための手続きは?

2019年の4月1日時点で基礎年金を受けているか、受けていないかで、給付金を受け取るための手続きが異なってきます。
 
1.2019年4月1日時点で老齢・障害・遺族基礎年金を受けている方
 日本年金機構で給付金の支給要件に該当するか判定し、支給要件を満たしている方には、2019年9月頃に手続きの案内が届きます。届いたら、同封されている請求書に氏名などを記入し返送します。添付書類は不要です。
 
2.2019年4月2日以降に老齢・障害・遺族基礎年金を受け始める方
 年金の裁定請求手続きを行う際に(給付金の請求書も同封)、あわせて給付金の認定請求の手続きを行ってください。
 

まとめ

年金生活者支援給付金は、消費税率引き上げ分を活用した、年金を受給していてもなお所得が低い方が、支給要件を満たせば恒久的に給付金が受け取れる制度です。
 
日本年金機構から請求書が届いたら、氏名などを記入して返送してください。1ヶ月に5000円受け取れるのであれば、年間6万円にもなります。ぜひ手続きを忘れないようにしましょう。
 
引用・出典
(※)厚生労働省「年金生活者支援給付金について」
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者