更新日: 2021.06.23 その他年金
会社員6年目の夫が亡くなった…残された妻と子、遺族年金はどれくらいもらえる?
会社員が亡くなった場合に支給される遺族厚生年金の額は亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3とされていますが、老齢厚生年金を受け取る年齢になっていない若い人が亡くなると、会社員の期間、つまり厚生年金加入期間が短いということになります。
そうなると、このまま遺族厚生年金も少なく計算されてしまうのでしょうか?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
遺族厚生年金は亡くなった人の厚生年金加入記録を元に計算
遺族年金のうち、高校生までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)がいることが条件で支給される遺族基礎年金は定額で支給されるのに対し、遺族厚生年金は、亡くなった人の厚生年金加入期間や在職中の給与・賞与など、その厚生年金加入記録をもとに計算されます。
亡くなった人が受けていた、あるいは将来受ける予定だった老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が遺族厚生年金として計算されるのが原則です(【図表1】)。
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厚生年金加入期間を300月にみなして計算
中高齢者で過去に会社員として長く勤務していた人が亡くなった場合は、過去の厚生年金加入期間や在職中に受けた給与・賞与も多く、その結果、遺族厚生年金の額も多くなりますが、若い人で給与も高くなく、厚生年金加入期間が短いと、このままでは遺族厚生年金の額が少なくなり、遺族の生活も保障されません。
そこで、厚生年金加入期間が短くても、年金額が少なくならないように計算されることになっています。
遺族が遺族厚生年金を受給するためには、亡くなった人の要件として短期要件と長期要件があり、中高齢者(60歳台で老齢厚生年金を受けている人など)の死亡を想定したのが長期要件であるのに対し、短期要件は比較的若い人の死亡を想定しています。
在職中(厚生年金加入中)に死亡した場合などで短期要件に該当し、亡くなった人の厚生年金加入期間が300月(25年)ない場合は、300月にみなして遺族厚生年金を計算することになっています(長期要件はこの300月みなし規定はなく、実際の厚生年金加入月数で計算します)。
それにより、実期間で計算するよりは年金額が多くなり、遺族も生活しやすくなるでしょう。
若くして亡くなった場合の遺族厚生年金の計算
大学を卒業してから会社員となり6年たった若い夫が、在職中に亡くなり、その人に妻と生まれたばかりの子が1人いる場合、受給の要件を満たせば、妻が遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できます。
亡くなった夫の平均標準報酬額(厚生年金加入中の給与・賞与の平均月額を現在価値に再評価)が32万円だった場合、単純に72ヶ月(6年)を掛けて計算すると、夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)は13万円強で計算されますので、その4分の3の遺族厚生年金は10万円くらいにしかなりません。
しかし、300月相当で計算すると、約41万円の遺族厚生年金として計算されます(【図表2】)。妻は、この300月相当で計算された遺族厚生年金と100万4600円(基本額78万100円+子1人分の加算22万4500円)の遺族基礎年金を併せて受給できます。
亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3とされている遺族厚生年金ですが、このように300月にみなす計算方法によって、遺族が受ける遺族厚生年金は4分の3より多い額となるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー