更新日: 2019.10.04 その他年金

年金って老後のためだけかと思っていた……。夫を亡くしたら、支給される遺族年金って?

年金って老後のためだけかと思っていた……。夫を亡くしたら、支給される遺族年金って?
実は、公的年金には万一の死亡や障害の際に受給できる保険のような働きがあります。では、一家の大黒柱である夫が亡くなったときに、妻はいくらもらえるのでしょうか?
 
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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2つの遺族年金

公的年金制度(国民年金・厚生年金)の加入者や年金受給者が死亡したときに、一定の要件を満たす遺族に支給されるのが遺族年金です。そして、遺族年金にも老齢年金と同様に1階部分の遺族基礎年金と2階部分の遺族厚生年金があります。
 

 
(1)遺族基礎年金(1階部分)
国民年金の人が死亡したときに、子がもらえる年金です。
 
1)支給要件
・被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
 
2)対象者
・死亡した者によって生計を維持されていた、子のある配偶者・子
※年金上の子とは次のとおり
18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
 
3)年金額
・78万100円+子の加算 
子の加算 第1子・第2子 各 22万4500円   第3子以降 各 7万4800円
子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行う。
 
例)配偶者と子3人 78万100円+22万4500円×2+7万4800円=130万3900円
  配偶者と子1人 78万100円+22万4500円=100万4600円
  子3人     78万100円+22万4500円+7万4800円=107万9400円
※子のない妻は、遺族基礎年金をもらえません。
 
(2)遺族厚生年金(2階部分)
厚生年金の人が死亡したときに、基礎年金に上乗せしてもらえる年金です。
 
1)支給要件
・被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。
・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき
 
2)対象者
・死亡した人によって生計を維持されていた者。
受給順位:妻>子>父母>孫>祖父母
※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。
※55歳以上の夫、父母、祖父母の支給開始は60歳。
※上記の順に対象者が決まり、妻が受給した場合は他の者は受給できません。
 
3)年金額
・死亡した人の報酬比例年金額の3/4
・被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算
 

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その他の給付

(1)寡婦年金(国民年金)
国民年金を受給せずに死亡した人の妻(婚姻期間10年以上)が60~65歳にもらえる年金。
年金額は、亡夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の3/4
 
(2)死亡一時金(国民年金)
国民年金を受給せずに死亡した人(保険料納付済み期間3年以上)の遺族がもらえる一時金。
一時金の額は保険料納付期間により12万円~32万円
  
※寡婦年金と死亡一時金はどちらかを選んで受給します。
 
(3)中高齢寡婦加算(厚生年金)
40~65歳までの寡婦がもらえる年金の割り増し
夫が在職中に亡くなったり、20年以上の被保険者期間があったりする場合など、遺族基礎年金の3/4(58万5100円)が、40歳から65歳になるまで加算されます。
ただし、遺族基礎年金を受給している間は、中高齢寡婦加算は支給停止となります。
 
(4)経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算を受給していた昭和31年4月1日以前生まれの妻が、65歳からもらえる年金。支給額は、生年月日により異なります。
例)昭和26年4月2日~昭和27年4月1日   9万7537円
  昭和30年4月2日~昭和31年4月1日   1万9527円
 

幼い子を残して夫が死亡した場合の妻の年金受給例概算

・厚生年金10年加入の夫が在職中に死亡  平均給与(年収÷12)35万円
・夫死亡時 妻30歳 子4歳  ・妻は90歳で死亡

 

まとめ

年金制度は複雑で、ここに記載できていない細かなルールもたくさんあります。夫が亡くなると収入が0になる前提で生命保険に加入しているような方は、「過大な保険料になっていないか」お近くのFPに相談してみた方がよいでしょう。
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士


 

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