【FP解説】年金の「知らないと損!」 未支給年金の請求を忘れていませんか?
配信日: 2019.11.08
「しまった!」と、ほぞをかまなくてもすむように、あらかじめ知っておきたい知識の数々をお伝えします。第4回は「お忘れなく、未支給年金」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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年金受給者が亡くなると、必ず発生する
年金を受給している人が亡くなると、必ず発生するものがあります。未支給年金です。この年金は、遺族年金とは性格が異なるので、もらい忘れる場合があります。ご注意ください。
年金は、亡くなった月の分まで受給できます。しかも、2ヶ月分ずつの後払いのため、未支給年金が発生するのです。仕組みを図示すると、次のとおりです。
この仕組みをしっかり分かっていないと、見落としてしまいがちです。では、どんな場合に、未支給年金のもらい忘れが生じやすいのでしょうか。それは、遺族年金を請求しない場合です。
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未支給年金の受給要件は、かなりゆるやか
遺族年金を受給できる遺族には、厳密な要件があります。次のとおりです。
【1】遺族基礎年金は、子のある配偶者、子。遺族厚生年金は、配偶者、子、孫、父母、祖父母。ただし、それぞれに年齢要件や受給期間の制限があります。
【2】亡くなった人に生計を維持されていたこと
これに対して、未支給年金の受給要件は、年金機能強化法によって2014年4月から、かなりゆるやかになっています。次のとおりです。
【1】遺族年金を受給できる遺族のほかに、それ以外の3親等内の親族。3親等内の親族には、子の配偶者や孫の配偶者、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の父母なども含まれます。
【2】亡くなった人と生計を同じくしていたこと
「生計維持」と「生計同一」
「生計を維持されていた」と「生計を同じくしていた」とは、よく似た表現ですが、かなり異なっています。「生計を維持されていた」とは、(1)生計を同じくしていること(2)収入が一定額以下であること、の2つの条件をともに満たす場合です。
これに対して「生計を同じくしていた」は、(1)生計を同じくしていること、だけでよく、収入額については問われません。
義母の未支給年金を受給
具体例で説明しましょう。Aさんは、夫が亡くなった後、夫の母親と同居して面倒をみていました。その義母が先日、亡くなりました。義母の夫(義父)はすでに亡くなっており、子はAさんの亡夫だけ。孫もいません。
義母の両親や祖父母はずっと前に亡くなっているので、義母の遺族年金を請求できる人はだれもいません。しかし、Aさんは、義母の未支給年金は受給することができました。子(夫)の配偶者であることと、生計を同じくしていたことが認められたからです。
Aさんが受給した未支給年金は、義母がもらっていた年金の2ヶ月分でしたので、金額的には大きな額ではありませんでした。でも、その未支給年金を手にしたとき、Aさんは、義母の「長い間お世話になったね。ありがとう」という声が聞こえたような気がしました。
未支給年金にも時効がある
未支給年金にも時効がありますから、5年間経過すると、もらえなくなります。年金を受給している人が亡くなった場合、必ず未支給年金が発生するということを覚えておきましょう。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士