新型コロナの影響で障害年金受給者の診断書提出期限が延長に

配信日: 2020.05.15

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新型コロナの影響で障害年金受給者の診断書提出期限が延長に
新型コロナウイルス感染症についてのニュースが毎日流れ、その収束の気配がなかなか見えてきません。そのような状況下で、既に障害年金を受給している人の中には、定期的な更新の時期が来る人もいます。
 
引き続き障害年金を受給するためには病院で診断書を書いてもらい、それを日本年金機構などへ提出する必要がありますが、今回、その一定の人については、診断書の提出期限が延長されることになりました。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害年金の更新制度

国民年金制度の障害基礎年金は障害状態の重いほうから障害等級1級、2級があり、一方、厚生年金保険制度の障害厚生年金は、障害状態の重いほうから1級、2級、3級があります。
 
障害等級の重いほうが年金額も高くなります。受給の要件を満たせば、該当する障害等級の年金を受け始めることになります。
 
しかし、手足の切断等で障害が永久固定されている場合を除き、障害の内容によって、1年~5年のごとに障害状態の確認が行われ、障害年金受給の更新がされます。
 
そのため、更新となる年の誕生月の末日までに、指定された様式の診断書を日本年金機構など障害年金の実施機関に提出する必要があります。
 
医師が記載した診断書を日本年金機構などに提出し、その診断書の内容から障害等級が判定され、その次の更新時期までの年金の受給可否や受給額が決まります。
 
障害等級がこれまでと同じの場合は更新後もこれまでの年金がそのまま継続しますが、障害が悪化していれば提出期限月(誕生月)の翌月分から年金が増額され、反対に障害が軽くなると提出期限月(誕生月)の4ヶ月後から年金が減額されたり、支給されなくなったりします(【図表1】)。
 

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新型コロナウイルス感染症の影響による提出期限の延長

以上が本来の更新の流れとなりますが、新型コロナウイルス感染症による影響で、2020年2月末~2021年2月末までに診断書提出期限のある人については、その期限が本来の期限から1年間延長されることになりました(【図表2】)。
 
通常であれば、本来の提出期限までに診断書の提出がないと、受給する年金は一時差し止められますが、今回期限の延長により1年間そのまま受給し続けることができ、診断書の提出は1年後になります。1年後に提出された診断書で障害状態の確認が行われることになります。
 
1年後に提出する前に障害状態が悪化した場合は、増額のための年金額改定請求を行うことも可能です(ただし、障害等級3級だった65歳以上の人の場合は請求できない場合があります。)。
 


 
本来の提出期限が2020年2月末~2021年2月末になる人の中には、既に診断書を提出している人もいることでしょう。既に提出している人については、障害が重くなって年金が増額される場合は、延長される前の本来の期限の翌月分から年金が増額されます。
 
反対に障害が軽くなって年金が減額される場合や支給されなくなる場合(支給停止の場合)は、減額・停止前の年金がそのまま継続されることになります。そして、1年後の延長された期限の時に診断書を再び提出し、その際、再び障害状態の確認が行われることになります。
 
新型コロナウイルス感染症により、外出自粛、休業など生活への影響は依然として続いていますが、このように、障害年金を受けている人の負担が少しは軽くなることでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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