障害年金の請求「認定日請求」と「事後重症請求」は何が違うの?注意点は?
配信日: 2020.09.15
公的年金制度の障害年金には、障害認定日に障害等級に該当したための請求と、障害認定日には障害等級に該当しなくても、その後になって障害等級に該当した請求があります。
前者を認定日請求、後者を事後重症請求といいます。それぞれに注意点があります。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
原則、初診日から1年6ヶ月経過日が障害認定日
障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)を受給するためには、病気やケガで初めて医師の診療を受けた日、つまり初診日を特定する必要があり、さらに、20歳前の傷病などを除き、一定の年金保険料の納付期間や免除期間を有している必要があります。
そして、初診日から原則1年6ヶ月経過した日が障害認定日となり、障害認定日に障害等級に該当しているかどうか判定がされます。
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認定日請求と事後重症請求の違い
その障害認定日に年金制度上の障害等級(障害基礎年金は1級か2級、障害厚生年金は1級か2級か3級)に該当していた場合は、障害年金の請求を行うことができ、認定日請求として請求できます。認定日請求をすると、障害認定日の翌月分から受給できます。
一方、初診日から1年6ヶ月経過した日に障害等級に該当していないと、その時点では年金を受給できませんが、その後障害が悪化して障害等級に該当した場合は、事後重症として請求を行うことができます。事後重症請求は請求した月の翌月分から受給できます(図表1)。このように両者には大きな違いがあります。
認定日請求での注意点
障害年金の請求には、障害の状態を医師が記した診断書(年金請求用の診断書)が必要です。事後重症請求は、現在の状態を記した1枚の診断書(年金請求日以前3ヶ月以内の現症を記した診断書)があればよいのですが、認定日請求の場合、診断書は1枚では足りないこともあります。
障害認定日時点で障害等級に該当するにもかかわらず、請求できると知らなかったため、すぐに請求せず、後になって請求することもあるでしょう。
障害認定日から1年経過してから認定日請求をする場合は、(1)障害認定日時点での診断書(障害認定日以降3ヶ月以内の現症を記した診断書)と、(2)請求時点での診断書(年金請求日以前3ヶ月以内の現症を記した診断書)、2枚の診断書が必要になります(障害認定日から1年経過していない認定日請求の場合は(1)のみです)。
病院での診断書の作成にはお金がかかり、障害認定日から1年を経過している場合は2枚分必要となってしまいます恩で、その点を理解しておく必要があります。
また、認定日請求の場合、月日がたってから請求をしても、障害認定日の翌月分からの年金がさかのぼって支給されますが、年金には5年の時効があります。障害認定日時点で障害等級に該当して障害年金の対象になっても、障害認定日から5年を過ぎてから請求を行うと、5年より前の期間の年金は時効で受けらないことになります(図表2)。
事後重症請求の注意点
一方、事後重症請求は、障害等級に該当した日ではなく、請求した日の翌月分からでないと年金は受給できません。従って、請求が1ヶ月あとになると、その分、受給できる年金も1ヶ月分減ることになります。
また、【図表1】のとおり事後重症請求は65歳前まで(65歳の誕生日の前々日まで)でないと請求はできませんし、60歳台前半で老齢年金を繰上げ受給している場合も請求ができなくなります。
以上のように、認定日請求も事後重症請求も、手続きが遅くならないように気を付ける必要があります。病気やケガで障害が残った場合は、まずは自身が障害年金を受給できるかどうかについて早めに年金事務所に相談し、請求できる時が来たら早めに請求をする必要があるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー