更新日: 2021.01.05 その他年金

50歳になって気になる将来の年金、「ねんきん定期便」記載の金額しか受け取れない?

執筆者 : 井内義典

50歳になって気になる将来の年金、「ねんきん定期便」記載の金額しか受け取れない?
年金制度の加入者に、毎年誕生月(1日生まれの場合はその前月)に届く「ねんきん定期便」。定期便を見て、自身の年金加入記録について確認できますが、将来の年金の受給額についても表示されています。
 
50代になると、年金受給について気になり始めると思いますが、定期便に記載された金額でしか受け取れないのでしょうか。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

50歳以上の人の定期便に表示される見込額

「ねんきん定期便」は、封書で届く節目年齢(35歳、45歳、59歳)を除いて、ハガキ形式で届きます。定期便に表示されている年金の受給額については、50歳未満の人の場合はそれまでの加入実績に応じて計算された額ですが、50歳以上の人の場合は現在の加入状況のまま60歳まで加入した場合の見込額となります【図表1】。


 
従って、厚生年金加入中の人は60歳まで今の給与(標準報酬月額)が続いた場合での見込額ですので、給与額が変更されたり、賞与が支給されたりすると、受給できる額が変わることになります。もし、今後60歳までに厚生年金被保険者から国民年金の第1号被保険者や第3号被保険者に切り替わった場合は、切り替わってからの老齢厚生年金は増えなくなります。
 
また、見込額には60歳以降の年金加入期間分については含まれていません。60歳以降に年金制度に加入すると、加入期間に応じて年金額が増えます。
 
なお、60歳までの厚生年金加入では、老齢厚生年金の報酬比例部分と老齢基礎年金が増えることになっていますが、60歳以降に厚生年金に加入すると、老齢基礎年金が増えない代わりに、老齢厚生年金の経過的加算部分が報酬比例部分と合わせて増えます(ただし、経過的加算部分が増えるのは厚生年金加入合計が480月に達するまでです)。
 

加算部分や基金代行部分は含まれていない

50歳以上の定期便には老齢基礎年金の見込額が表示されますが、国民年金第1号被保険者として国民年金保険料に合わせて付加保険料を納めている場合は、老齢基礎年金は付加年金込みで記載されます。一方、年金には家族構成により加算がされる場合がありますが、加給年金や振替加算といった加算部分は定期便には掲載されておりません。
 
また、厚生年金加入期間の中に厚生年金基金の加入があり、基金(企業年金連合会)より報酬比例部分の一部が基金代行部分として支給される場合、基金代行部分についても見込額に記載されていません。


 

在職中は年金がカットされるかも?

年金を受給できるようになってから勤務(厚生年金加入)していると、在職老齢年金制度により年金がカットされることがあり、実際の受給額が定期便の見込額より少なくなることがあります。どれくらいカットされるかは在職中の給与や賞与の額によって変わります。
 
年金を受給できるようになってから引き続き勤める場合は、受給額が減る可能性があることをあらかじめ想定しておく必要があります。
 

定期便は毎年確認しましょう

そもそも年金額は経済情勢(賃金・物価の変動)によって毎年度改定されることになっています。増額改定される年度もあれば減額改定される年度もあります。
 
毎年度の改定を積み重ねた結果によっても、実際の受給額が変わります。毎年、定期便で見込額の推移を確認しながら、将来の生活の計画を考え、あるいは必要に応じて見直す必要があるでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

ライターさん募集