更新日: 2021.04.06 国民年金

国民年金保険料を未納のままにしておくとどうなるの?

執筆者 : 林智慮

国民年金保険料を未納のままにしておくとどうなるの?
新型コロナウイルスの感染者が急激に拡大したため、緊急事態宣言が発出されました。収入の減少や失業等の影響を受けて収入が減少してしまい、国民年金保険料の支払いが厳しくなった場合に、臨時特例免除の申請ができます。免除の要件に該当しても、申請しなければ免除は受けられません。
 
もし申請をせず、国民年金保険料を未納のままにしておくとどうなるのでしょう。国民年金保険料の納付は義務です。支払わない人に対し、日本年金機構はさまざまな収納対策を採っています。

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林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

所得があるのに払わないと差し押さえられることも

国民年金は、原則、翌月末日の「国民年金の納期限」までに納付しますが、納付しないでいると、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」が送られてきます。催告状には未納保険期間と未納保険料が記載されています。
 
国民年金保険料を支払える状態でありながら、度重なる納付勧奨を無視し続けると、最終催告状が送られてきます(平成30年度の強制徴収は、控除後所得額300万円以上かつ未納月数7ヶ月の方が対象とされました)。
最終催告状とは、強制徴収の対象者に対し、催告保険料(未納保険料)の納付書とともに送られてくる催告文書です。指定期限までに納付されない場合、滞納処分(差し押さえ)を開始することが明記されています(任意加入者、国民年金法により保険料の納付の必要がないと認められる者、納付しても年金受給期間を満たさない者、強制徴収が適切ではない者は対象者から除かれます)。
 
最終催告状が送られてきたら、このまま放っておくと差し押さえになることを認識しましょう(特に平成27年10月より、控除所得1000万円以上、かつ滞納期間13ヶ月の場合は、国税庁による強制徴収となります)。
 
最終催告状の指定期限までに催告保険料納付されないと、呼び出しや訪問による納付特例がされ、督促状が督促に関わる未納保険料(督促保険料)の納付書とともに送られてきます。
 
その督促状の指定期限までに督促保険料が納付されないと、「差押予告通知書」が送られてきます。それでも納めなければ、滞納処分が開始され、延滞金が課せられます。督促状の期限までに支払えば延滞金はかかりませんが、督促の指定期限より後に納付した場合、国民年金保険料の納期限の翌日から納付日の前日までの日数分の延滞金がかかります。
 
差し押さえの件数は、平成29年に約1万4000件、平成30年に約1万8000件、令和元年度に約2万件と増加しています。
 

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国民年金保険料免除・納付猶予制度

強制徴収は、国民年金保険料を支払う能力がありながら支払わない人が対象です。所得が少なく国民年金保険料の支払いが厳しい場合は、強制徴収の対象とならないようです。
 
ところで、収入の減少や失業により国民年金保険料の支払いができない場合に、免除や納付猶予の制度があります。
 

●本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までの申請は前々年度所得)が一定以下の場合
●失業した場合に、申請をすることで免除や納付猶予を受けられる場合があります。免除に該当しても、申請をしなければ免除を受けることができません

 
免除が認められれば、その期間は、割合によって受け取る年金額に反映がされます。
 

●全額免除は満額年金額の1/2
●3/4免除は満額年金額の5/8
●1/2免除は満額年金額の3/4
●1/4免除は満額年金額の7/8

 
ただし、納付猶予となった場合は、追納しなければ猶予期間の年金が増えることはありません。
 

国民年金保険料臨時特例免除

ところで、免除の判定は前年所得で判定するため、今年の収入が激減しても、前年所得が高い場合は免除・猶予の対象になりません。今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、国民年金保険料の納付が困難になった場合の臨時特例免除申請が開始されています。
 
対象となるのは、次の2点とも満たした人です。
 

●令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、収入が減少したこと
●令和2年2月以降の所得等の状況から見て、所得の見込みが免除等に該当することが見込まれること

 
臨時特例免除は、令和2年2月分以降の国民年金保険料が対象です。
免除・猶予は、令和元年度分(令和2年2月~令和2年6月)、令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月)
学生納付特例については、令和元年度分(令和2年2月~令和2年3月)、令和2年度分(令和2年4月~令和3年3月)
 
臨時特例による免除を申請するには、「国民年金保険料・納付猶予申請書」と一緒に「所得の申立書」を提出します。令和2年2月にさかのぼっての申請もできます(通常の免除は過去2年〈申請付きの2年1ヶ月前の月分〉までさかのぼっての申請ができます)。
 
通常の免除も臨時特別免除も、お住まいの市区町村役場または年金事務所に申請します。国民年金保険料を支払えないときは、そのままにしないで、お住まいの市区町村役場や年金事務所に相談しましょう。その他、注意事項につきましては、日本年金機構ホームページをご参考にしてください
 
(※この記事は、令和3年2月現在の情報です)
 
(参考・引用)
厚生労働省「国民年金保険料に係る強制徴収の取扱いについて」の一部改正について
日本年金機構 平成30年11月30日報道発表「国民年金保険料強制徴収集中取組月間」の実施について
日本年金機構「知っていますか?国民年金保険料の免除制度」
日本年金機構「令和元年度業務実績報告書」
日本年金機構「国民年金保険料の延滞金」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者