最終更新日: 2021.04.16 公開日: 2021.04.15
年金

障害年金ヒント集(7) 65歳になってもできる裁定請求

執筆者 : 和田隆

年金の相談を受けていると、「障害年金をもらいたい。でも、ハードルが高くて…」と悩んでいらっしゃる人がたくさんいることが分かります。確かに、障害年金を受給するには、いくつものハードルがあります。
 
しかし、取り組み方をちょっと変えると、うまくハードルを越えられる場合もあります。悩んでいる人たちへの受給のためのヒント集です。第7回は、「65歳になってもできる裁定請求」です。
 
和田隆

執筆者:

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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「すぐわかる! 障害年金のもらい方」
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和田隆

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執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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「障害年金の裁定請求は65歳までに」とよく言われるが…

「障害年金の裁定請求は65歳までに」とよく言われます。そのためか、65歳になると「もう請求できない」と思っていらっしゃる人が少なくありません。しかし、65歳になってからでも裁定請求ができる場合があります(65歳になる前に繰上請求をしている場合は、今回の説明では省きます)。次のような場合です。
 

【1】初診日が65歳前にある障害認定日請求
【2】基準障害の障害認定日が65歳前にある「初めて2級の請求」(初めて1級も含みます。以下同様)
【3】被保険者であるとき
【4】旧法適用者

 

裁定請求の方法は…

【1】~【4】の説明の前に、障害年金の裁定請求について振り返っておきましょう。裁定請求の方法には、大別して、障害認定日請求と事後重症請求、それに、「初めて2級の請求」があります。
 
障害認定日請求は、障害認定日の障害の程度で判定してもらうものです。障害認定日は原則として、初診日の1年6ヶ月後です。請求の際は、20歳前障害の場合を除き、障害認定日から3ヶ月以内の症状が書かれた診断書を準備します。請求時の症状が書かれた診断書も必要です。
 
事後重症請求は、障害認定日には障害等級に該当しなかったけれども、その後に症状が重症化した場合や、障害認定日から3ヶ月以内の症状が書かれた診断書を入手できない場合などに、請求時の症状が書かれた診断書を提出して判定してもらいます。
 
「初めて2級の請求」は、障害等級が3級以下の障害を持っていた人に、新たに別の障害(「基準障害」と言います)が発生し、両方の障害を合わせると障害等級が2級に該当する場合に行うものです。
 
基準障害については、加入要件(原則として、初診日に年金制度に加入していること)や納付要件(原則として、保険料をルールどおりに納付していること)が問われますが、もともとあった障害については不問とされます。
 

65歳以後に請求ができないのは、事後重症請求

上記の【1】~【4】について説明します。
 
【1】初診日が65歳前にある障害認定日請求
 
65歳以後に請求ができないのは、事後重症請求です。もっと正確に言うと、65歳になるのは65歳の誕生日の前日ですから、事後重症請求は、65歳の誕生日の2日前までに行う必要があります。
 
これに対して、初診日が65歳前にある障害認定日請求は、65歳以後でも可能です。事後重症請求の締め切り日が強調されるあまり、「障害年金の請求は65歳までに」というスローガンが広まったものと思われます。
 
ただし、5年以上前の給付については消滅時効が適用されるので、障害認定日請求が認められても、実際に給付を受けることができるのは、多くても直近の5年間分だけです。請求する場合は急がなければなりません。
 

「初めて2級の請求」の支給は請求月の翌月分から

【2】基準障害の障害認定日が65歳前にある「初めて2級の請求」
 
基準障害の障害認定日が65歳前にある場合は、65歳以後でも「初めて2級の請求」が可能です。ただし、請求が認められても、さかのぼっての支給はありません。請求月の翌月分から支給されます。上記の障害認定日請求とは条件が異なりますから、注意が必要です。
 

65歳以後でも被保険者であれば…

【3】被保険者であるとき
 
65歳以後でも被保険者である場合があります。
 
1つは、保険料納付済期間などが少なくて、老齢年金(退職年金も含みます。以下同様)の受給権を得ることができないために、65歳以後もこれらの受給権が得られるまで国民年金に任意加入している人です。「高齢任意加入被保険者」と呼ばれます。
 
もうひとつは、厚生年金保険に加入して働いている場合です。すでに老齢年金の受給権がある場合は、国民年金の被保険者ではありませんので、請求が認められても、1階部分の障害基礎年金はありません。受給できるのは障害厚生年金だけです。
 
例えば「老齢基礎年金+老齢厚生年金」の受給権がある人は、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」と障害厚生年金との選択になります。請求前に、年金事務所で受給見込み額を試算してもらうと良いでしょう。
 
ただし、65歳以上で老齢年金の受給権をまだ得ていない人にとっては、保険料の納付要件をクリアするのが関門になります。
 
初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がなければ良いという「直近1年の特例」は適用されませんので、初診日の前日において被保険者期間の3分の2以上が納付済期間または免除期間であることが求められる「3分の2要件」を満たさなければなりません。海外に長く住んでいた人など、該当者はかなり少ないと思われます。
 

旧法が適用される人は…

【4】旧法適用者
 
旧法とは、1986年3月以前の法律です。1986年3月以前に障害の程度が2級以上であったことが証明できる場合は、すでに65歳以上であっても障害年金の請求ができます。障害の程度をみる障害認定基準は、現在のものではなく、旧法当時のものが適用されます。
 

早合点しないで慎重に判断を

以上のように、65歳以後でも裁定請求ができる場合がたくさんあります。「65歳になったから、もう請求できない」と早合点しないで、近くの年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談をして、慎重に判断してください。
 
※2021/04/16 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士