更新日: 2021.04.16 その他年金

年金繰り上げ繰り下げ受給。みんなどのくらいやってるの?

執筆者 : 下中英恵

年金繰り上げ繰り下げ受給。みんなどのくらいやってるの?
年金を受け取り始める時期を調整することができる「年金の繰り上げ・繰り下げ受給」は、人それぞれのニーズに対応する年金制度の便利な仕組みの1つです。しかし実際のところ、繰り上げや繰り下げを行っている人は、どのくらいいるのでしょうか。
 
今回は、繰り上げ・繰り下げ受給の仕組みや利用率などを解説します。

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下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

年金の繰り上げ・繰り下げ受給とは?

現在の年金制度では、原則として65歳から年金を受け取ることができます。しかし、もっと前から年金を受け取りたい人や、逆に、まだ受け取らなくてもいいという人もいるかもしれません。
 
このような場合、年金の繰り上げ受給や繰り下げ受給を行うことができます。
 
【繰り上げ受給】
老齢基礎年金は、60歳から65歳になるまでの間で、繰り上げて受給することができます。繰り上げの方法には、全部繰り上げと一部繰り上げがあり、自分で選択することが可能です。
 
しかし、繰り上げ受給の請求をした時点(月単位)に応じて、もらえる年金が減額されてしまい、その減額率は今後一生変わりません。全部繰り上げを行った場合、繰り上げ請求による減額率は以下のとおりです。
 
また、国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、令和元年度末時点で5万6000円となっています(※)。

減額率=(繰り上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.005

 
【繰り下げ受給】
すぐに年金をもらわなくても大丈夫という方の場合、老齢年金は65歳で請求せず、66歳以降70歳までの間で申し出たときから繰り下げて受給できます(令和4年4月からは上限が75歳になります)。
 
また、繰り下げには、老齢基礎年金の繰り下げと老齢厚生年金の繰り下げがあります。繰り下げ受給をした場合、請求をした時点に応じて最大で42%年金額が増額されます。
 
昭和16年4月2日以後に生まれた人の場合、増額率は以下のとおり計算されます。

増額率=(65歳到達月から繰り下げ申出月の前月までの月数)×0.007

 

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繰り上げ率と繰り下げ率

実際に年金の繰り上げや繰り下げを行っている人はどのくらいいるのか、チェックしていきましょう。
 

●国民年金 受給者の繰り上げ・繰り下げ受給状況(令和元年度)(※)

繰り上げ受給率:12.3%
繰り上げ・繰り下げなし:86.3%
繰り下げ受給率:1.5%

 
この調査によると、繰り上げ受給をしている人は10%以上いますが、繰り下げ受給をしている人は1%台と少数派であることが分かります。また、繰り上げ受給率の推移を見てみると、平成27年の15.3%から年々低下しています。
 
年金だけではなく、自分でもきちんと老後資金を用意することで、繰り上げ受給をしなくても生活を送れている方もいると考えられます。一方、繰り下げ受給率はあまり変わらず、平成27年度から令和元年度の5年間は1%前半で推移しています。
 

繰り上げ・繰り下げの手続き方法

年金の繰り上げ請求を希望するときは、「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を提出する必要があります。一方、繰り下げ請求の場合は、「老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書」を提出します。
 
申し出の時期(月)によって減額や増額の割合が変わるので、書類を提出するタイミングには注意するようにしましょう。
 
いかがだったでしょうか。年金をもらえるタイミングを自由に選べる「繰り上げ・繰り下げ受給」ですが、実際に利用している方は繰り上げ受給で10%程度、繰り下げ受給で1%程度となっており、特に繰り上げ受給は減少傾向が見られます。
 
老後のマネープランを立てて、年金の繰り上げをしなくても大丈夫なように、しっかりと貯蓄などで準備をしていくことが大切です。今回の記事をきっかけに、自分の老後資金が十分に足りているのか、見直してみてはいかがでしょうか。
 
出典
(※)厚生労働省年金局 令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者