更新日: 2021.05.28 厚生年金
厚生年金基金の廃止で、私たちの生活にどんな影響がある?
もし、自分が現在加入している、あるいは過去に加入していた厚生年金基金が廃止となってしまったら、どのような影響が及ぶのでしょうか。今回は厚生年金基金の廃止の影響について見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金基金とは?
厚生年金基金とは、企業が設立する基金が国に代わって厚生年金の一部を支給するとともに、独自の上乗せ給付をするものです。要は企業が福利厚生のために支給する企業年金の一種です。
厚生年金基金は全盛期、厚生年金加入者の3分の1程度が加入するまでに至ったものの、バブル崩壊以降は運用状況が悪化していき、徐々に縮小・解散する基金が増えていきました。現在では新規の基金設立が認められず、既存の基金に対しても給付の代行部分を変更して確定給付企業年金へ移行するか、解散かを促されている状況です。
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厚生年金基金の加入履歴の調べ方は?
自分に厚生年金基金の加入履歴があるかどうかは、次のような方法で調べることができます。
●過去、現在の勤務先に確認する
●ねんきん定期便を確認する
●企業年金連合会の「企業年金記録確認サービス」で確認する
●給与明細で厚生年金基金の保険料控除がされていないか確認する
厚生年金基金が廃止されると、どんな影響がある
それでは厚生年金基金が廃止されることによって、どのような影響が及ぶのか見ていきましょう。
厚生年金基金は廃止されると解散、または給付の代行を返上するかのどちらかになります。
解散とは、要は基金について全てを終わらせてしまうようなものです。基金の代行部分に当たる資金は国に移換され、将来、厚生年金として受け取ることができます。
そして、余った残余財産(上乗せ部分)は本人の選択に応じて分配、または企業年金連合会に移換されます。企業年金連合会に移換された部分に関しては、企業年金連合会から通算企業年金として受け取ることになります。
なお、解散時期が平成26年3月31日以前の場合、代行部分に当たる資金は企業年金連合会に移換・支給されます。
一方、代行返上となった場合は代行部分に相当する資金は国に納付され、厚生年金として受け取ります。上乗せ部分に関しては確定給付企業年金など、別の形式で運用・支給されることになります。
厚生年金基金の加入状況について
日本年金機構と企業年金連合会は、解散した厚生年金基金に加入されていた方に対するデータの引き継ぎに際し、確認のために文書で通知するという作業を行っています。もし、そういった確認の文書が到着した場合は年金の加入履歴を正しく引き継ぐためにも、文書内の指示に沿った対応を行うようにしてください。
厚生年金基金は消えていく企業年金制度です
厚生年金は現在、新規での設立が認められておらず、残っている基金もいずれは解散したり、代行を返上して別の企業年金制度に移っていくことになります。
厚生年金基金が廃止となる際は、その後の流れについて勤務先などへ問い合わせて確認しておくと同時に、加入履歴の確認の通知が届いたときは正しい年金記録のためにも速やかに対応をするようにしてください。
出典
日本年金機構 厚生年金基金加入期間がある方の年金
執筆者:柘植輝
行政書士