年金受給の原則ルールは「1人1年金」ただし、その例外とは

配信日: 2018.01.18 更新日: 2019.08.30

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年金受給の原則ルールは「1人1年金」ただし、その例外とは
公的年金について1人に複数の年金の受給権がある場合、「1人1年金」の原則により、いずれか1つの年金を選択して受給することとなります。ただし、そのルールには例外もあります。今回は年金の選択受給、併給調整について述べたいと思います。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

原則は「1人1年金」

公的年金の受給には「1人1年金」という原則があり、複数の年金について受給権利がある場合も、その中の1つしか受給できません。
 
年金給付の種類を大きく分けると、老齢、障害、遺族の3つに分かれますが、例えば老齢基礎年金と障害基礎年金の2つの権利があれば、そのうちの1つを選択して受給し、もう1つは支給停止となります。これは2つの年金を同時に受けることによる過剰給付を防ぐためともいわれています。
 
このように複数の年金の権利があれば、通常はどちらか金額の多い年金を選んで受給することになるでしょう。
 

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2階建て制度による併給

ただし、この「1人1年金」の原則には例外があり、複数の年金を併給できることがあります。
 
まず、同じ支給事由である2つの年金は、それぞれ受給できます。
 
例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権がある場合、2つの年金を併給できます。基礎年金、厚生年金の2階建て制度の趣旨による受給となります。また、障害基礎年金と障害厚生年金の組み合わせでも併給でき、同様に遺族基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせでも併給できます。
 
また付加年金については、付加保険料を納めることによって老齢基礎年金に加算される年金ですが、付加保険料の納付月数に応じて、こちらも老齢基礎年金に併せて受給できることになります。
 

年金の種類が違っていても併給できる場合がある

老齢、障害、遺族とそれぞれ支給事由の異なる複数の年金を受ける権利があっても、併給できる場合もあります。
 
65歳以上である場合、(1)老齢基礎年金と遺族厚生年金、(2)障害基礎年金と遺族厚生年金、(3)障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせであれば、(1)(2)(3)それぞれ2つの年金の種類は異なってはいますが併給が可能です(65歳までについては(1)(2)(3)いずれも併給できず、選択受給となります)。
 
また65歳以降に、(1)の2つの年金に加え、老齢厚生年金の権利がある場合については、3つの年金の併給ができますが、調整が行われます。まず、老齢基礎年金と老齢厚生年金を優先的に受給し、残りの遺族厚生年金については本来の遺族厚生年金から老齢厚生年金を差し引いた差額分を受給することになります。
 
下の図表は平成19年4月1日以降に遺族厚生年金が発生するか、同日以降に受給権者が65歳を迎えた場合のものです。
 


 
以上のような、例外的なルールで併給がされることによって、年金の収入に頼る65歳以上の人の生活が保障されることにもなります。
 
Text/井内義典(いのうち・よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 


 

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