更新日: 2021.06.24 年金

厚生年金保険料が猶予・免除できるケースとは?

執筆者 : 新井智美

厚生年金保険料が猶予・免除できるケースとは?
国民年金保険には、保険料支払いの免除制度や納付猶予制度が設けられていますが、厚生年金保険料も同じように猶予そして免除の制度が設けられています。ただ、国民年金と異なり、制度が使える人や要件が限定されています。今回は厚生年金保険料の猶予、そして免除制度について解説します。
 
新井智美

執筆者:

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

新井智美

執筆者:

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

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厚生年金保険料の猶予について

厚生年金保険料の猶予については、一定の要件に該当する際に受けることができます。ただし、この制度を受けることができるのは、事業主のみであることに注意が必要です(出典:厚生労働省「厚生年金保険料等の猶予制度について」(※1))。
 

■厚生年金保険料の猶予には2種類ある

事業主が厚生年金保険料を納付することによって、事業の継続が困難になるなどで一定の要件に当てはまる場合は、申請することにより保険料支払いの猶予措置を受けることができます。そしてこの猶予措置には、「換価の猶予」と「納付の猶予」の2種類が存在します。
 

<換価の猶予とは?>

厚生年金保険料を支払うことにより、事業の継続が困難になるなど、一定の要件に該当する場合において、その保険料の納付期限から6ヶ月以内に管轄の年金事務所に「財産収支状況書」等を添えて申請することで、1年間の納付猶予が認められる場合があります。
 
換価の猶予を申請するには、事業の継続が困難になる、そして納付期限から6ヶ月以内に申請するなどの要件のほか、以下の要件をすべて満たす必要があります。
 
・これまでに納付の滞納などがないこと
・申請の際に担保を提供すること
・保険料を納付する意思があること

 
また、やむを得ない理由がある場合は、猶予期間を最大2年間の範囲内で延長できます。

 

<納付の猶予とは?>

納付の猶予の要件については、換価の猶予と若干異なり、以下のいずれかに該当する必要があります。
 
・震災などの災害により、財産が被害を受けた場合や盗難にあったこと
・事業主もしくはその家族が病気もしくはけがをしたこと
・事業の廃止もしくは休業を行ったこと
・事業において、前年の利益の半分を超える損失を出したこと
・これらの理由によって納付が困難であると認められること
・猶予を受けようとする厚生年金保険料等の金額に相当する担保を提供すること

 
(出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の猶予制度の概要」(※2))

 

猶予を受けるとどうなる?

猶予制度を受けることにより、以下の措置が取られます。
 

・保険料については、猶予期間中に分割して納める
・猶予期間中の延滞金については一部免除される
・財産の差し押さえや現金化が猶予される

 
申請の際には「財産収支状況書」の提出が必要となりますが、そのほか、必要に応じて「担保の提供に関する書類」や「災害の事実を証明する書類」が必要となることも覚えておきましょう。
 

厚生年金保険料の免除制度について

厚生年金保険料の猶予制度が事業主のみに向けたものであるのに対し、免除制度は加入者である事業主および被保険者両方に向けた制度です。
 
保険料支払い免除が認められているのは、産休および育休期間における厚生年金保険料の支払いについてのみです。この期間の支払いについては、事業主および被保険者両方が支払う保険料が免除の対象です。
 

■免除できる期間

産休期間、そして育児休暇中の期間の保険料が対象です。免除を受けるには、事業主を通して年金事務所に申し出ることが必要です。満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間が対象ですので、かなりの期間において免除を受けることができます。
 

■免除期間の取り扱いについて

産休・育休中であっても、厚生年金保険の加入者であることには変わりありません。したがって、免除期間については加入期間としてみなされます。
 
ただし、保険料を納めていないことから、将来受け取る厚生年金の額が少なくなることに注意が必要です。
(出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除」(※3))
 

知っておきたい標準報酬月額の随時改定

厚生年金保険料は標準報酬月額を基に算出されます。そして、この標準報酬月額は毎年4月から6月の報酬月額を基に算出します。
 
これを定時決定といいますが、休業期間が終わり復帰した方や、病気などにより収入が大幅に減少した方については、特例措置が設けられています。それが随意改定といわれるもので、復帰や休業などで賃金額に減少が生じた月から3ヶ月間の報酬の平均額によって算出し直します。
 
特に育休などから復帰した際には、休業前の標準報酬月額が適用されることから、復帰後短時間勤務制度を利用する場合などは、給料が少ないにもかかわらず多くの保険料を払うことに負担を感じるケースもあるのではないでしょうか。
 
この随時改定の措置を受けるには、事業所を通して年金事務所に申請する必要がありますので、改定措置を受けたい場合は担当部署に申し出て手続きを行ってもらうようにしてください。
(出典:日本年金機構「随時改定」(※4))
 

まとめ

国民年金保険料の猶予制度は、学生や収入が減少した場合など幅広い事由に対応していますが、厚生年金保険料の猶予そして免除制度については適用される範囲が少ないのが事実です。
 
とはいえ、休業明けややむを得ない事由によって給料が下がった場合の対応も用意されていますので、内容をしっかりと確認し、必要であればそれらの制度を利用するようにしましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省「厚生年金保険料等の猶予制度について」
(※2)日本年金機構「厚生年金保険料等の納付が一時的に困難となった場合に猶予制度があります」
(※3)日本年金機構「厚生年金保険料等の免除」
(※4)日本年金機構「随時改定」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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