育児のための短時間勤務が将来の年金額に影響する訳とその対策は?
配信日: 2018.01.30 更新日: 2019.09.18
第1号被保険者の人は、平成31年4月から産前産後期間の保険料の免除が導入されます。免除期間は保険料を納めたとみなして、満額の基礎年金を保障してくれます。その財源として、第1号被保険者の国民年金保険料が月額100円程度引き上げられる予定です。
執筆者:福田斉子(ふくだ ときこ)
ファイナンシャルプランナー/公的保険アドバイザー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
anesis plu-s代表
シングルで子育てをしながら、ファイナンシャルプランナーとして活動を行っています。特に、自身の経験をもとに、主にシングルマザーやワーキングマザーを対象にした資産形成のアドバイスに力を注いでいます。また将来設計のための「iDeCoセミナー」や「ねんきん定期便セミナー」の相談業務を行っています。
出産育児で免除された厚生年金保険料、将来の年金額に影響する?
会社員の産前産後休業中や育児休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料は、日本年金機構に申請することによって労使ともに免除になります。免除になった期間は保険料を納めた期間として、将来の年金額を計算してくれます。
例えば、出産で休みに入る前に収入30万円(標準報酬月額)だった場合、免除期間は標準報酬月額30万円の保険料が支払われたものとみなして、将来の年金額の計算をしてくれます。
産前産後休業が終わり、引き続き育児休業を取ることになった場合も、日本年金機構に申請することによって健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。この場合も標準報酬月額30万円の保険料を支払った期間として、将来の年金額の計算をしてくれます。
最近では、お父さんも積極的に育児に参加しているご家庭も増えています。お父さんが育児休業を取っても、免除の申請をすることによって社会保険料・厚生年金保険料免除になり、将来の年金額も育児休業前の標準報酬月額で保険料が納められたものとして計算してくれます。免除の申請は、事業主経由で日本年金機構に届出をしてもらいます。
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育児休業が終わって短時間勤務をする場合では
最近では、育児休業が終わって会社に復帰をすると、育児のため短時間勤務を選択する人もいらっしゃいます。働く時間が短いということは、出産前に比べて収入が減るということもあります。
産前産後休業や育児休業のときは、健康保険・厚生年金保険の保険料は被保険者本人も事業主も申請することにより免除になり、保険料を納めた期間として将来の年金額も保障されました。短時間勤務で報酬が下がった場合は「被保険者報酬月額変更届」を提出して、下がった標準報酬月額に対しての保険料を納めます。
例えば、産前産後休業前の標準報酬月額が30万円だった人は、日本年金機構の平成29年9月分からの厚生年金保険料額表(一般・坑内員・船員の被保険者の人)を見ると、厚生年金保険料は27,450円(被保険者負担分)を給与から徴収されます。
しかし、短時間勤務で仮に標準報酬月額が20万円になった場合、厚生年金保険料は18,300円(被保険者負担分)を給与から徴収となり、将来の年金額は標準報酬月額20万円で計算されます。
しかし、育児のため短時間勤務をしていて標準報酬月額が下がっていますが、将来の年金額を計算するときは出産前の標準報酬月額で計算してくださいという申請をすることによって、産前産後休業前の標準報酬月額で将来の年金額を計算してくれる制度があります。
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」というものです。
例えば、実際支払う保険料が報酬月額20万円の保険料であったとしても、将来の年金額を計算するときには、出産前の標準報酬月額30万円の保険料を納めたものとして計算してもらえます。
この制度は、養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないように、子どもが3歳になるまでの特例です。お母さんだけでなく、子どもを養育しているお父さんも対象になります。申請方法は「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」と添付書類《戸籍謄(抄)本、または戸籍記載事項証明書、住民票(申出者と子が同居していることを確認できるもの)》を事業主経由で、日本年金機構に提出をしてもらいます。
Text:福田 斉子(ふくだ ときこ)
ファイナンシャルプランナー/公的保険アドバイザー 確定拠出年金相談ねっと認定FP anesis plu-s代表