更新日: 2021.07.15 その他年金

持ち主不明の年金記録はまだどれくらい残っている? 年金記録の確認方法とは?

執筆者 : 馬場愛梨

持ち主不明の年金記録はまだどれくらい残っている? 年金記録の確認方法とは?
2007年ごろ「消えた年金問題」として世間を騒がせたニュースを覚えている方もいらっしゃるでしょう。年金の加入記録が誰のものかわからなくなってしまうという衝撃的な事態でしたが、あれから約15年、現在その問題は解消されているのでしょうか。

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馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

https://babaeri.com/

年金記録が「持ち主不明」ってどういうこと?

「消えた年金問題」では、5000万件を超える年金記録が持ち主不明になっていることが報道されました。
 
「年金を納めた」という記録はあるものの、誰が納めた分なのかわからないという状態です。これは、せっかく年金保険料を支払ったのに、そのぶんが自身の年金受給額に反映されない人が多数いることを意味しています。
 
紙で管理していた情報をオンラインに移すときに間違えたままになっていた、今のように全体で統一された基礎年金番号がなく、公的年金制度ごとに異なる番号で管理していたことがこの問題の背景にあるようです。
 

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「持ち主不明」の記録はまだ残っている?

問題が発覚した2007年、持ち主不明の記録は「約5095万件」存在していました。この数字をピークとして、その後に行われたデータ突合作業などによって持ち主が判明した年金記録が年々増えていきました。
 
2013年には6割近くにあたる「約2961万件」が解明済みと公表されています。ただ、2020年9月時点で「約1806万件」がいまだに基礎年金番号にひもづいていない状態になっていて、2021年現在でも、まだこの問題は完全に解決したわけではありません。
 
日本年金機構の2021年5月の報告内容は以下のとおりです。
 

●解明済みのうち基礎年金番号と統合済みの記録……約2030万件
●ねんきん定期便で本人から回答があり「調査中」となっている件数……約2万件
●年金記録問題に対応する 「ねんきん定期便・ ねんきんネット専用番号」への相談電話の応答件数……約5万件(令和3年3月分)
●実際に記録の漏れや誤りがあり、訂正によって年金額が増額した件数……約4000件(令和3年3月分)

 
問題発覚から間もないときよりは数値が落ち着いているものの、10年以上たった今でもまだ継続して調査や報告が行われています。
 

自分の年金記録を確認しよう

保険料を確実に支払ったのに、データが残っていないから年金を受け取ることができない、といった事態を防ぐためには、自分の年金記録は自分できちんと確認するということが大切です。日本年金機構任せにするのではなく、毎年送られてくる「ねんきん定期便」や、インターネットで確認できる「ねんきんネット」を一度はじっくりと見てみましょう。
 
ねんきんネットには、「持ち主不明記録検索」というコーナーがあります。自分の名前や生年月日などを入力して、該当する記録があるかどうか確かめることができますよ。また、日本年金機構の公式サイトでは「持ち主不明記録がある事業所名一覧」が公開されています。
 
日本年金機構によると、以下のような人は年金記録の漏れや誤りが発生しやすかったようですので、特に注意しておきたいところです。
 

●退職後、結婚し姓が変わった
●名前の漢字が何パターンにも読める  例:藤原(フジワラ/フジハラ)、文子(フミコ/アヤコ)など
●転職のたびに年金手帳が発行された

 

まとめ:「消えた年金問題」は解決したわけではない

持ち主不明の年金記録は、まだ残っています。もし自分のデータがそこに入っていたら、保険料はしっかりと支払っているのに、年金の受取額は本来の年金額より少なくなってしまいます。
 
「面倒」「よくわからない」「受け取りはまだ先」と思わず、年金保険料の払い損にならないよう、この機会に自分の年金記録を確認してみませんか。
 
出典
日本年金機構「年金記録問題とは?」
日本年金機構「年金記録問題への取組状況について(令和3年5月報告)(速報ベース)」
日本年金機構「持ち主不明記録検索」
日本年金機構「持ち主不明記録がある事業所名一覧」
厚生労働省「日本年金機構の令和2年度の取組状況について」P19
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表