更新日: 2021.08.30 厚生年金
厚生年金の支給開始年齢引き上げで私たちの生活にどんな影響が出る?
早期に定年を迎えた場合、年金支給開始時期までの再就職や繰り上げ受給などを検討しなくてはなりません。
ここでは、厚生年金の支給開始年齢引き上げの経緯や影響、繰り上げ・繰り下げ受給について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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厚生年金支給開始年齢は65歳
現在、厚生年金の支給開始年齢は65歳です。しかし、年金制度がスタートした当初の支給開始年齢は55歳で、現在よりも10年早く厚生年金を受け取れました。
累次の改正によって、支給開始年齢は段階的に引き上げられています。ここでは、厚生年金の支給開始年齢の引き上げに関する沿革について見ていきましょう。
制度発足当初の支給開始年齢は55歳
年金制度の発足当初の厚生年金支給開始年齢は55歳でした。国民年金の支給開始年齢は当初から65歳でしたが、厚生年金の支給開始年齢は徐々に引き上げられていきます。
昭和29年に男性は55歳から60歳へ引き上げが決まり、昭和32年度から16年かけて引き上げが行われました。さらに、昭和60年の法改正で女性の支給開始年齢を55歳から60歳にすることが決まり、昭和62年度から12年かけて引き上げられています。
このように、制度発足当初から支給開始年齢は徐々に引き上げられており、平成に入ると現在の65歳に変更されます。
平成12年の法改正で現在の65歳へ
平成12年の法律改正で、厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢はそれまでの60歳から65歳に引き上げられることになりました。以下は、男女別の引き上げルールです。
●男性:2013年度から2025年度にかけて3年に1歳ずつ引き上げ
●女性:2018年度から2030年度にかけて3年に1歳ずつ引き上げ
厚生年金の定額部分については、平成6年の法改正で65歳への引き上げが決まり、すでに引き上げが完了しています(男性は平成13年度から、女性は平成18年度からそれぞれ12年かけて)。
このように厚生年金の報酬比例部分は、現在、支給開始年齢を段階的に引き上げている最中です。
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支給開始年齢引き上げで自助努力が求められる
当初は55歳だった厚生年金支給開始年齢が65歳になったことで、年金を受け取る時期が10年遅くなっています。仮に60歳で定年を迎える場合は、厚生年金を受け取る65歳までの5年間、収入がなくなる可能性があります。
60歳から受け取れるiDeCoもありますが、運用の結果次第で受け取れる額が決まるため、生活をしていくうえで十分な金額になるとは限りません。そのため、再就職などして生活資金を稼ぐことが必要です。
支給開始年齢が遅くなったことで、以前に比べて自助努力を求められる期間が長くなっています。
繰り上げ受給・繰り下げ受給が可能
国民年金と厚生年金は、原則65歳からの受け取りです。しかし、受給時期を早める繰り上げ受給や遅くする繰り下げ受給が可能です。繰り上げは年金を早く受け取れますが受給額は減少し、繰り下げは受給額は増加しますが受け取るのが遅くなります。
自分の状況に合わせて繰り上げ・繰り下げを判断することが大切です。ここでは、年金の繰り上げ・繰り下げの違いについて見ていきましょう。
繰り上げ受給で減額
年金は最大60歳まで1ヶ月単位で繰り上げ受給ができます。繰り上げ受給をすると年金を早く受け取れますが、1ヶ月の繰り上げにつき0.5%の減額になります。60歳0ヶ月まで繰り上げた場合は、30%の減額です。本来65歳で受け取れる年金額の7割しか受け取れなくなります。
仮に65歳時点の年金額が260万円の場合、60歳0ヶ月への繰り上げで30%減り182万円になります。年金額は減りますが、最大5年も早く受け取ることが可能です。
繰り下げ受給で増額
年金は66歳以降、最大70歳まで1ヶ月単位で繰り下げが可能です。1ヶ月の繰り下げで、受給額が0.7%増額になります。70歳0ヶ月まで繰り下げると42%の増額です。
仮に65歳時点の年金額が260万円の場合、70歳0ヶ月への繰り下げで42%増加し、年金額は369万2000円になります。5年間繰り下げると、受け取る時期は遅くなりますが年金額を大幅に増やせます。
現在の支給開始年齢は65歳。ただし繰り上げ・繰り下げを選択可
厚生年金の支給開始年齢は55歳からはじまり、現在は65歳です。しかし、受け取る時期の繰り上げや繰り下げもできます。繰り上げをすると年金額は減りますが早く受け取ることができ、繰り下げると受け取りは遅くなりますが年金額を増やせます。
昔に比べて年金支給開始年齢が遅くなった分、事前の備えや計画が大切です。年金の繰り上げ・繰り下げ受給も視野に入れて、老後資金の計画を立てましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員