更新日: 2021.11.12 厚生年金
厚生年金の受給停止を防ぐ働き方。収入は月いくらまでならセーフ?
在職老齢年金制度により、老齢厚生年金額や給与・賞与額に応じて、年金が全額または一部が支給停止となる場合があります。
ここでは、在職老齢年金の仕組みや支給停止となる条件について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
厚生年金が受給停止になる「在職老齢年金制度」とは
在職老齢年金制度とは、70歳未満の方が厚生年金に加入して働く場合や70歳以上で厚生年金保険制度がある会社に勤めているときに、受け取る老齢厚生年金額が調整される仕組みです。
老齢厚生年金の額(基本月額)と給与や賞与(総報酬月額相当額)に応じて、年金が全額または一部が支給停止となる場合があります。
※基本月額とは…老齢厚生年金の年額を12で割った金額
※総報酬月額相当額…標準報酬月額と直近1年の標準賞与額を12で割ったものの合計
60〜65歳の在職老齢年金と65歳以上の在職老齢年金では、年金の減額条件が異なります。それぞれの一部・全額支給停止の条件についてみていきましょう。
60歳以上65歳未満の一部・全額支給停止の条件
60歳から65歳未満で老齢厚生年金を受給しながら在職して厚生年金の被保険者となっている方は、図表1のように基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金が全額または一部支給停止となる可能性があります。
図表1
基本月額と総報酬月額相当額 | 年金の支給停止額 |
---|---|
基本月額と総報酬月額相当額の 合計額が28万円以下 |
0円(全額支給) |
基本月額28万円以下、 総報酬月額相当額47万円以下 |
(基本月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2×12 |
基本月額28万円以下、 総報酬月額相当額47万円超 |
{(47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12 |
基本月額28万円超、 総報酬月額相当額47万円以下 |
総報酬月額相当額×1/2×12 |
基本月額28万円超、 総報酬月額相当額47万円超 |
{47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12 |
基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下の場合は、年金の一部・全額支給停止はありません。しかし、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超える場合は年金額が減額されます。
例えば、老齢厚生年金が108万円(月額9万円)で総報酬月額相当額が28万円(標準報酬月額22万円、標準賞与額72万円(月額6万円))の場合、「基本月額28万円以下、総報酬月額相当額47万円以下」に該当します。
支給停止額と年金支給額は次のとおりです。
●支給停止額54万円(月額4.5万円):(28万円+9万円-28万円)×1/2×12
●年金支給額54万円(月額4.5万円):108万円-54万円
65歳以上の一部・全額支給停止の条件
65歳以上で厚生年金保険に加入しながら年金を受ける方は、図表2に該当すると年金が全額または一部支給停止となる場合があります。
図表2
基本月額と総報酬月額相当額 | 年金の支給停止額 |
---|---|
基本月額と総報酬月額相当額の 合計額が47万円以下 |
0円(全額支給) |
基本月額と総報酬月額相当額の 合計額が47万円超 |
(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2×12 |
例えば、年金額120万円(月額10万円)で総報酬月額相当額が41万円(標準報酬月額32万円、標準賞与額108万円(月額9万円))の場合、「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円超」に該当します。支給停止額と年金支給額は次のとおりです。
●支給停止額24万円(月額2万円):(41万円+10万円-47万円)×1/2×12
●年金支給額96万円(月額8万円):120万円-24万円
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
2022年4月からは法改正により支給停止の仕組みが緩和される予定
2020年5月に成立した年金制度改正法により、2022年4月からの在職老齢年金の仕組みが変わる予定です。具体的には、図表3のように60~64歳の在職老齢年金の支給停止基準が緩和されます。
図表3
現行の支給停止基準 | 28万円 |
2022年4月からの支給停止基準 | 47万円 |
現行の65歳以上の在職老齢年金の支給停止基準と同じ47万円になります。支給停止基準の緩和により、現在より年金額や給与などが増えたとしても年金減額にはならない可能性があります。
60歳以上の収入を確認しましょう
現行の在職老齢年金は、60〜65歳未満の方は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が「28万円以下」であれば年金の支給停止はありません。また、65歳以上の方は「47万円以下」です。
2022年4月からは法改正で条件が緩和されるため、60〜64歳と65歳以上、どちらの場合も「47万円以下」であれば年金の支給停止はなく全額支給となります。
基本月額は「年金÷12」、総報酬月額相当額は「月給(標準報酬月額)+直近1年の賞与(標準賞与額)を12で割ったもの」となりますので、早速、自身の年金受給額と収入を確認してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員