更新日: 2021.12.06 その他年金

現時点の「年金見込額」の確認方法。少ないと感じたら増やす行動を

執筆者 : 秋口千佳

現時点の「年金見込額」の確認方法。少ないと感じたら増やす行動を
65歳以降に受給できる年金額がいくらになるのか、誰もが知りたい情報です。なぜなら受給できる年金額が分からないと、65歳時点でいくらお金を貯めておいたらよいのか、ということが分からないからです。
 
この残しておくお金の金額を知ることの大切さを十分に理解していない人が多く、65歳の直前になって「受給できる年金額が少ない」という人もいます。
 
そこで、現時点での年金の受給見込額がいくらになるのかを知り、もし足りないと思ったらどういった行動をすべきなのかについて、見ていくことにします。
秋口千佳

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

将来の年金見込額を知る方法

今、将来の年金見込額を知る主な方法は、以下のとおり3つあります。あなたに合った方法で確認してみてください。
 

(1)近くの年金事務所に訪問して確認する

例えば、原則65歳から年金が受給できるのでその20年前にあたる46歳以上の人で、平日の昼間に自由な時間のある人は、この方法が一番です。
 

(2)ねんきん定期便で確認する

例えば(1)以外の人で、受給できるおおよその金額を知りたい人は、この方法で問題ありません。
 

(3)ねんきんネットで確認する

特にまとまった時間の取りにくい人や、転職や起業といった働き方の変更を考えている人は、24時間対応でさまざまなシミュレーションのできるこの方法をお勧めします。
 
それでは、上記の方法について1つずつ詳しく見ていきましょう。
 

近くの年金事務所に訪問して確認する

(1)年金事務所に訪問するため、まずはお近くの年金事務所の場所を調べてみてください。(※1)
 
(2)次に、訪問する年金事務所に電話で連絡をし、「将来受給できる老齢年金の試算をしてほしいのですが、何か持っていくものはありますか。」と確認してみてください。その上で、訪問する日時の調整をします。
 
(3)あとは当日に年金事務所を訪問し、受給額を確認し、その場で不明なこと等があれば確認しましょう。
 

ねんきん定期便で確認する

毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきますので、届いたらまずは開封してみましょう。以前の記事(※2)にも書きましたが、定期便の内容は、年齢により異なります。しかしながら大切な情報は50歳未満の人であれば「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以降の人であれば「老齢年金の種類と見込額」です(※3)。
 

・50歳未満の人「これまでの加入実績に応じた年金額」

今までの納付状況をもとに算出した将来に受給できる金額です。今後も継続して納付をすることで、その金額は増えます。前年のねんきん定期便と比較をすると、受給できる金額が増えていることが分かります。
 
そのため、例えば今後も同じ給料で同じ納付額の場合、65歳から受給できる老齢年金額をある程度予想することができます。この「ある程度」の予想が大切です。ある程度の金額が分かれば、老後に必要な金額が分かります。
 

・50歳以降の人「老齢年金の種類と見込額(年額)」

60歳未満の人は、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込額が示されています。60歳以上65歳未満の人は「ねんきん定期便」の作成時点の年金加入実績に応じて、65歳から受け取れる年金見込額が示されています。
 

ねんきんネットで確認する

ねんきんネットを利用するにはまず登録が必要です。登録をするにはマイナンバーカードがあるかどうかと、ねんきん定期便に記入されているアクセスキーが分かるかどうかで、手続きが異なりますので、画面に従って登録を進めてください。
 
ねんきんネットでは以下のものが24時間365日、確認できます。ご自身の空いた時間に必要な情報を得ることができるので、便利です。

●ご自身の年金記録の確認
●将来の年金見込額の確認
●電子版「ねんきん定期便」の確認
●電子版「被保険者記録照会回答票」の確認
●年金の支払いに関する通知書の確認
●源泉徴収票・社会保険料控除証明書などの再交付申請
●各種届書の作成・印刷
●持ち主不明の年金記録の検索
●「私の履歴整理表作成」

 

65歳以降の受給できる年金見込額が足りない!

以上の方法で実際の受給できる年金額が確認できたとします。それでも今の生活費を考えると、将来のお金が足りなくなると分かった場合、これからの働き方やお金の使い方、そして65歳以降の働き方・過ごし方を考える必要があります。

(1)これから引退するまでの期間

●現状(預貯金額や住宅ローン残高など)を把握する
●iDeCoやNISAなどを使った投資を始める
●小規模企業共済や倒産防止共済、国民年金基金に加入する(1号被保険者の人)
●共働きでないのであれば共働きも視野に入れる
●引退後の働き方を見据え、自己投資をして自分の価値をあげておく
●家計における生活費の見直しをする

(2)引退後の期間

●65歳以降も働き続けることを視野に入れる
●起業する

 

45歳になるまでには行動を

いわゆる老齢年金が受給できるのは、原則65歳以降です。つまり60歳定年の人は5年間、無収入期間が生じることになります。そういったことをふまえると、ライフスタイルの転換期(子どもの教育費のメドが立った頃、現役から引退する時期が明確になりつつある頃など)である45歳ごろまでには引退までの道筋を具体的に想定し、ご自身で老後の生活に必要な資金の目安をたてることをお勧めします。
 
その上で、老後の生活にお金が足りないと分かれば、即座に行動に移すことで、将来の資金繰りが安心したものになります。
 
取りあえず毎年決まった日に、「年金受給見込額」を確認するようにして、その後の生活の進め方を考えるようにしてください。これを習慣づけることで、将来の不安が少なくなることでしょう。
 
出典
(※1)日本年金機構「全国の相談・手続き窓口」
(※2)ファイナンシャルフィールド「50歳未満の『ねんきん定期便』。注目すべきポイントは?」
(※3)日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分)」
(※4)日本年金機構「ねんきんネット」
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

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