更新日: 2021.12.09 国民年金
農業に従事する人は知っておきたい。<農業者年金>も改正されるってホント?
2020年に成立した年金制度改正法により、国民年金や厚生年金、確定拠出年金などが改正されることになりましたが、その農業者年金についても改正(対象は2002年1月以降の新制度)されます。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
60歳以上でも加入できるようになる!
農業者年金は農業に年間60日以上従事する人を対象とし、現行制度上、20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者(保険料免除者を除く)が加入できます。現在は60歳以降は加入できないことになっていますが、2022年5月からは、第1号被保険者だけでなく、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入する人も農業者年金に加入することができるようになります。
国民年金への任意加入が条件ですので、任意加入しない場合、任意加入できない場合は60歳以降農業者年金への加入はできません。60歳時点で老齢基礎年金が満額(480月納付した場合の額。2021年度は年額78万900円)に達していない場合で、厚生年金被保険者でない場合は、任意加入ができますので、その際、農業者年金への加入についても検討価値があるでしょう。
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若い人は月額保険料1万円からでも加入可能に!
現行制度上、農業者年金加入により納付する月額保険料は2万~6万7000円の範囲内で、1000円単位で選択できるようになっています。2022年1月からは、35歳未満で【図表1】の要件を満たす人は、月額1万円からでも通常加入(保険料の国庫補助のある政策支援加入でない加入)ができるようになります。
つまり、保険料の納付下限額が2万円から1万円に引き下げられることになり、農業に従事する若い人が加入しやすい制度となります。
なお、月額1万円納付の対象者にならなくなった場合(35歳以上に該当した場合または【図表1】の要件を満たさなくなった場合)は、通常加入の月額保険料を2万円に引き上げるか、政策支援加入(保険料について国庫補助のある加入)の手続きをすることになります。
受給開始時期も拡大される!
農業者年金に加入して将来受給できる農業者老齢年金は65歳受給開始が原則です。農業者老齢年金について、現行制度上、60歳から繰り上げ受給することも可能となっていますが、さらに2022年4月から、65歳以上75歳未満の間で受給開始時期を選択できるようになります。
また、政策支援加入をして【図表2】の要件をすべて満たせば特例付加年金が受けられますが、こちらも現行制度上は、60歳以上65歳未満で繰り上げ受給することができ、2022年4月からは受給開始年齢の上限がなくなっていつでも受給開始時期を選択できるようになります。
農業者年金の年金受給額は、納付した保険料とその運用成績で決まりますが、受給開始時期を遅らせ、受給開始時期までの運用期間が長くなると、年金原資が増えて受給額が増えることにもつながるでしょう(※運用期間中の運用成績しだいでは、あまり増えなかったり、減ったりすることもあります)。農業者老齢年金、特例付加年金いずれも1957年4月2日以降生まれの人(改正施行日以降65歳になる人)が改正後の制度の対象となります。
国民年金、厚生年金、確定拠出年金でも加入要件の緩和や受給開始時期の拡大といった改正がされることになりますが、農業者年金も同様に改正が行われ、加入や受給がより柔軟な制度になるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー