更新日: 2021.12.10 国民年金
アルバイトしていても国民年金保険料の「学生納付特例制度」は申請できる?
ここでは、学生納付特例制度について、制度の利用可否の判断基準や、制度利用時の注意点をまとめました。ご自身の場合は制度を利用できるかどうか、確認しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
国民年金保険料の「学生納付特例制度」はどんな制度?
国民年金の「学生納付特例制度」とは、本人の所得が基準以下の学生に対して、国民年金保険料の納付を猶予する制度です。学生とは、次のような学校に在籍する人を言います。
・大学(院)
・短期大学
・高等学校
・高等専門学校
・特別支援学校
・専修学校
・各種学校(1年以上の課程に限る。私立は都道府県知事に認可された学校に限る)
・一部の海外大学の日本分校
制度の適用を受けるには、住民票のある市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所、在学中の学校などで申請をする必要があります。申請が認められた場合、猶予されるのは申請した年の4月から翌年の3月までの国民年金保険料です。
学生納付特例制度の所得基準
学生納付特例制度の適用を受けられるのは、本人の所得が次の式で計算した所得基準額以下の学生です(※令和3年度の基準)。
所得基準額=128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
なお、制度適用可否の判断に用いるのは申請者である学生本人の所得のみであり、家族の所得が多くても問題ありません。また、所得が基準額以上であっても、失業などの事情があれば猶予を受けられる場合があります。
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学生納付特例制度を利用できるアルバイト収入はいくらまで?
アルバイトで給与収入を得ている場合、次の式で計算した給与所得額が所得基準額をこえなければ、学生納付特例制度を利用できます。
給与所得額=給与収入-給与所得控除
給与所得控除は収入額ごとに表1のように定められています。
表1
収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5000円まで | 55万円 |
180万円まで | 収入金額×40%-10万円 |
360万円まで | 収入金額×30%+8万円 |
※国税庁 令和2年分以降 給与所得控除の表より筆者作成
扶養親族がおらず、社会保険料などの控除もない場合、所得が基準内に収まるアルバイト収入の目安は約194万円です。実際に計算してみましょう。
給与所得額=給与収入金額194万円-給与所得控除額(収入金額194万円×30%+8万円)=127万8000円
所得基準額=128万円+扶養親族等の数0人×38万円+社会保険料控除等0円=128万円
給与所得額が127万8000円となり、所得基準額128万円をやや下回ります。
なお、扶養親族がいる場合は扶養親族の数×38万円、社会保険料を支払っている場合は社会保険料控除の額にそれぞれ194万円に足した金額が、学生納付特例を利用できる上限収入の目安です。
学生納付特例制度を利用する際の注意点
学生納付特例制度を利用する際は、次のことに注意しましょう。
・申請が遅れると障害年金を受け取れないことがある
・追納しないと将来の年金額が減る
・追納できるのは10年以内(3年度目以降は保険料が上乗せされる)
学生納付特例制度の申請が遅れると、申請日前に原因が生じた障害に関して、障害年金を受け取れない場合があります。国民年金保険料の納付が困難な場合は、忘れずに早めに申請しましょう。
学生納付特例制度で国民年金保険料の納付を猶予された期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、年金額の計算時には反映されません。そのため、制度を利用したのちに、保険料を後から納める「追納」をしないと、将来もらえる年金額が減ってしまいます。
猶予された国民年金保険料の追納ができるのは、学生納付特例制度の承認を受けた年から10年間です。ただし、承認を受けた年の翌年度を起点に3年度目以降に追納をするときは、経過した期間に応じて加算額が上乗せされることに注意しましょう。
アルバイトをしていても学生納付特例制度は利用できる
アルバイトをしていても、収入が約194万円を超えていなければ国民年金の学生納付特例制度を利用できます(給与収入の場合)。制度の利用が可能かどうか自分の収入額を確認してみましょう。
ただし、学生納付特例制度を利用したまま追納をしないでいると、将来の年金額が減ります。追納ができるのは10年間と決まっているため、収入に余裕ができたら忘れずに追納の手続きをしましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員