転職を繰り返すと年金の加入記録に漏れが発生することも。過去の年金記録を調べる方法とは？

終身雇用が崩壊して転職が珍しくなくなった昨今、転職経験がある方の年金記録の漏れが問題となっています。
 
なぜ、転職経験者の年金の加入記録に漏れが発生してしまうのでしょうか。過去の年金記録を調べる方法とともに説明していきます。

なぜ転職すると年金の加入記録に漏れが生じるのか

転職回数の多い方が年金の加入記録の漏れに注意しなければならない理由は、単純に年金手続きの回数が増えるからです。転職をすると厚生年金を脱退し、新たな勤務先で加入し直すことになります。
 
その都度、脱退や加入の手続きが問題なくできていればいいのですが、勤務先に基礎年金番号を届け出ていなかったり、正しい番号を伝えていないことが原因で基礎年金番号が重複して発行され、年金の加入記録に漏れが生じる可能性があります。
 
また転職を繰り返すと、それぞれの勤務先での年金の加入期間が短く、年金記録が未統合となって漏れにつながるケースもあります。
 

転職経験者で加入記録の漏れが多いケースは？

日本年金機構によれば転職経験者のうち、次のような方に年金の加入記録の漏れが発覚しているようです。

・転職のたびに年金手帳が発行された
・転職後、元の勤務先が合併、社名変更、倒産した
・グループ会社内での転勤や出向を繰り返していた
・試用期間中に退職したことがある
・保険の外交員や期間工などとして働いていた

 

年金記録の漏れを確認するにはどうしたらいい？

年金記録の漏れを確認するには、主に2種類の方法があります。ここでは「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」での確認方法を紹介します。
 

ねんきん定期便で確認する方法

ねんきん定期便は、毎年誕生月に日本年金機構から送られてきます。これまでの年金の加入記録が記載されているため、加入期間をチェックして漏れや誤りがないか確認することができます。
 
基本的に毎年のねんきん定期便は、はがきで送られてきますが、節目の年（35歳、45歳、59歳）には封書で届き、全ての加入期間の記録だけでなく、加入履歴の詳細も分かるようになっています。
 
毎年のねんきん定期便で直近の加入期間を確認し、節目の年に全ての加入期間の履歴をチェックするといった方法でも、加入記録の漏れを早期に見つけることができます。
 
はがきの例

出典：日本年金機構　「ねんきん定期便」の様式（サンプル）と見方ガイド（令和3年度送付分）
 
封書（節目の年齢）の例

出典：政府広報オンライン　「あなたの年金記録に「もれ」や「誤り」はありませんか？ もう一度ご確認をお願いします」
 

ねんきんネットで確認する方法

ねんきんネットとは、インターネットを通じていつでも加入履歴や加入期間といった年金記録のほか、将来の年金見込額などを確認できるサービスです。
 

出典：政府広報オンライン　「あなたの年金記録に「もれ」や「誤り」はありませんか？ もう一度ご確認をお願いします」
 
ねんきんネットの利用には、事前の登録とユーザIDの発行が必要です。また登録には、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーや基礎年金番号、メールアドレスが必要となりますが。詳細については日本年金機構のホームページをご確認ください。
 

年金記録の送付を申請する

ねんきん定期便が手元になく、ねんきんネットを利用できない環境という場合、年金記録の送付（ねんきん定期便の再発行）を申請して確認することもできます。年金記録の申請は「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」（0570-058-555）で申し込みが可能です。
 

転職をしたことがある方は年金記録の確認を

転職をしたことがある方は、年金の加入記録に漏れが生じている可能性もあります。加入記録の漏れは、将来年金を受け取れなかったり、受給金額が少なくなるなど、年金に何かしらの影響を及ぼします。
 
転職経験者の方は年1回、ねんきん定期便などで自身の年金の加入記録に漏れや誤りがないか必ず確認しておくようにしてください。
 
出典
日本年金機構　こんな方はぜひ、年金記録に漏れがないかご確認を！
日本年金機構　「ねんきん定期便」の様式（サンプル）と見方ガイド（令和3年度送付分）
政府広報オンライン　あなたの年金記録に「もれ」や「誤り」はありませんか？ もう一度ご確認をお願いします
 
執筆者：柘植輝
行政書士