種類が違う年金同士でも受けられる? 年金の併給パターンを整理

配信日: 2022.02.09

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種類が違う年金同士でも受けられる? 年金の併給パターンを整理
日本の公的年金給付には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類があります。そして、2階建て年金制度となっているため、それぞれに基礎年金、厚生年金があります。
 
複数の種類の年金の受給権がある場合は、どのように受け取れるのでしょうか。受給パターンについて整理します。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

65歳からの併給パターン

老齢年金、障害年金、遺族年金はそれぞれ1階部分・基礎年金と2階部分・厚生年金があり、支給事由が同じである老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金は併せて受給できます。
 
しかし、老齢、障害、遺族と種類の異なる年金について2つ以上受給権がある場合、種類の異なる年金を同時に受給することはできないのが原則です。例えば、遺族年金を選択受給すると、老齢年金は選択しないことになって支給停止になります。
 
しかし、これについて、65歳以降の場合は例外があります。【図表1】の〇のパターンであれば、たとえ、1階部分と2階部分の年金の種類が異なっていても併せて受給できます。この場合でも、1階部分、2階部分で選択しない年金は支給停止になります。
 

 

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障害厚生年金は他の年金と併給できない

【図表1】を見ると、障害基礎年金は障害厚生年金以外に、老齢厚生年金あるいは遺族厚生年金を選択して併給でき、老齢基礎年金は老齢厚生年金以外に遺族厚生年金と併給できます。
 
一方、障害厚生年金は他の種類(老齢・遺族)の基礎年金と併せて受給できません。障害等級1級、2級より軽い3級の場合は、障害基礎年金はなく、障害厚生年金のみです。
 
3級の障害厚生年金を受給していた人が65歳を迎え、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給権が発生すると、多くの場合、この2階建ての老齢年金のほうが受給合計額も多く、受給は老齢年金に切り替わることになるでしょう。その場合、障害厚生年金は65歳以降支給停止となります。
 
また、障害等級1級・2級の場合、障害基礎年金と障害厚生年金の対象になりますが、65歳を迎えると、「障害基礎年金+障害厚生年金」ではなく、「障害基礎年金+老齢厚生年金」で受給することを視野に入れる必要があります。両者のそれぞれの受給合計額を見ながら、また、課税か非課税か(障害年金は非課税)などを見ながら選択する必要があるでしょう。
 

老齢厚生年金と差額支給の遺族厚生年金

【図表1】の場合のほか、65歳以降、2階部分について老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給することも可能です。ただし、その場合の遺族厚生年金については、支給額が調整され、老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分の支給となります。
 
老齢基礎年金は老齢厚生年金とも遺族厚生年金とも併給できますので、老齢基礎年金、老齢厚生年金、差額支給の遺族厚生年金という3つの年金の併給が可能です(【図表2】)。
 
2007年4月以降に65歳を迎えた場合、あるいは遺族厚生年金の受給権が発生した場合、遺族厚生年金はこの差額支給という扱いで老齢厚生年金と併給することになり、「2階部分は老齢厚生年金か遺族厚生年金どちらか選択」というわけではありません。
 
なお、配偶者が遺族厚生年金を受給する遺族である場合、A「遺族厚生年金」よりB「遺族厚生年金の3分の2と配偶者の老齢厚生年金の2分の1の合計」が高い場合はBを遺族厚生年金の額とみなして、そのBの額から配偶者自身の老齢厚生年金相当額を差し引いて差額支給分を計算します(【図表2】)。
 

 
以上のように、種類の異なる複数の年金の受給権がある場合は、受給パターンについて整理し、「受給パターンの中でどれが最も有利な受給方法か」や「65歳になると受給の内訳はどのように変わるか」などを確認しておきたいところでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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