更新日: 2022.03.02 厚生年金
年収500万円と1000万円のサラリーマンでは年間の厚生年金保険料いくら違う?
厚生年金保険料は、おおむね収入に比例していますが、年収の違いが厚生年金保険料にどのように影響するのでしょうか。年収500万円と1000万円のサラリーマンの厚生年金保険料について比較してみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の保険料の決まり方
厚生年金の保険料は、毎月の給与を基に決定される標準報酬月額と、賞与を基にした標準賞与額に保険料率18.3%を乗じて算出します。厚生年金保険料は労使折半であるため、その半分の額が本人負担分となります。
標準報酬月額は1等級から32等級まで分かれており、原則4月から6月の給与を基に一定の幅で区分された報酬月額に当てはめて決定されます。ここでいう給与とは基本給や残業代のほか、通勤手当などを含めた税引き前の給与をいいます。
標準賞与額は、税引き前の賞与から1000円未満の端数を切り捨てたもので、1回当たりの賞与が150万円を超える場合、150万円として計算されます。
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年収500万円のサラリ-マンの厚生年金保険料は?
まずは年収500万円のサラリ-マンの厚生年金の保険料を算出してみましょう。給与は毎月一定で35万円、賞与は年2回で1回当たり35万7100円とします。この場合、標準報酬月額は22等級の36万円となるため、本人負担分の保険料は月3万2940円、年間では39万5280円です。
36万円×18.3%÷2=3万2940円
3万2940×12ヶ月=39万5280円
賞与にかかる保険料ついては、1000円未満を切り捨てた標準賞与額が35万7000円となり、本人負担分は1回当たり3万2666円、年間2回で6万5332円です。
年間で支払う厚生年金保険料の総額は46万612円となるため、年収500万円のうち、9.2%程度を厚生年金の保険料として支払っていることになります。
年収1000万円のサラリ-マンの厚生年金保険料は?
続いて年収1000万円のサラリ-マンの厚生年金保険料を算出してみます。給与は毎月一定で72万円、賞与は年2回で1回当たり71万4200円と仮定します。
この場合、標準報酬月額は上限である32等級の65万円で、本人負担分の保険料は月5万9475円、年間では71万3700円となります。
65万円×18.3%÷2=5万9475円
5万9475円×12ヶ月=71万3700円
また、標準賞与額は71万4000円で、賞与にかかる本人負担分の保険料は1回当たり6万5331円、年間では13万662円となります。年収1000万円では、年間で支払う保険料の総額は84万4362円で、年収の8.4%相当を厚生年金保険料として支払っていることになります。
年収500万円と比べて、年収1000万円の方が収入に対する厚生年金保険料の割合が小さくなるのは、標準報酬月額が上限に達していることが理由として挙げられます。
毎月の給与が72万円であるにもかかわらず、保険料を算定するための報酬月額は「63万5000円以上」の区分に当てはまり、標準報酬月額は32等級の「65万円」となるためです。
また、賞与についても同様に、保険料を算定する上での標準賞与額には、支給1回当たり150万円という上限があるため、賞与の額が上限を超えるほど収入に対する保険料の割合は小さくなります。
まとめ
厚生年金の保険料は上限額こそあるものの、おおむね収入に比例して金額が高くなっていきます。例えば年収500万円で年間約46万円、年収1000万円で年間約84万4000円の厚生年金保険料を支払っていると推測した場合、その差は年間38万4000円ほどになります。
自分が目指す年収に達したとき、厚生年金の保険料をどれくらい負担することになるのか想定してみると、理想に対しての現実が少し見えてくるかもしれません。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:柘植輝
行政書士