更新日: 2022.04.25 その他年金

時短パートからフルタイム勤務に変更。10年働くと将来の年金はいくら増える?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

時短パートからフルタイム勤務に変更。10年働くと将来の年金はいくら増える?
時短パートからフルタイム勤務に変更すると、収入額や出勤数が増加する関係で厚生年金保険に加入するケースが多くなります。
 
厚生年金保険料の支払いが発生するものの、老齢基礎年金(満額で年額約78万円)に上乗せする形で、将来受け取れる年金を増やせます。
 
今回は時短パートからフルタイム勤務に変更して10年間働いた場合、将来の年金がいくら増えるのかを計算しました。また、10年間で支払う厚生年金保険料や、時短パートからフルタイム勤務に変わるときの注意点もご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

10年間のフルタイム勤務で増える厚生年金はいくら?

10年間のフルタイム勤務で厚生年金がいくら増えるのか、簡単なシミュレーションを行います。以下の条件で働くAさんのモデルケースをみていきましょう。


・時給1000円・8時間勤務(日額8000円)
・出勤日249日(年間休日は厚生労働省調査による平均値116日)
・賞与・手当などはなし
・10年間同条件で勤務(被保険者期間10年)

将来受け取る厚生年金の年額は、「平均標準報酬額(被保険者だった期間の標準報酬月額の合計÷被保険者だった期間の月数)×5.481/1000×厚生年金保険の加入期間の月数」で計算します。
 
Aさんは年収199万2000円・月収16万6000円です。月収16万6000円の標準報酬月額は17万円になります。また、今回の条件では標準報酬月額と平均標準報酬額は同じ金額になります。
 
以上を踏まえた計算結果は次のとおりです。
 
17万円×(5.481÷1000)×120ヶ月(10年間)=11万1812円
 
つまり、Aさんは65歳からもらえる公的年金が年額約11万1800円増加します。Aさんが女性で平均寿命87歳まで生きると仮定すると、22年間で総額約246万円が受け取れます。
 
なお時給900円の場合は年額約9万8500円、時給1100円の場合は年額約11万8400円の増加です。
 

10年間のフルタイム勤務で支払う厚生年金保険料はいくら?

厚生年金保険料の金額は「標準報酬月額×18.3%」で計算します。とはいえ厚生年金保険料は労使折半(事業者と労働者が半分ずつ納めること)であるため、労働者の支払い分は9.15%になります。
 
10年間のフルタイム勤務で実際に支払う厚生年金保険料を、時給別でおおまかに算出しました(先述のAさんと同条件)。

時給1100円 時給1000円 時給900円
月額 1万6470円 1万5555円 1万3725円
年額 19万7640円 18万6600円 16万4700円
総額 197万6400円 186万6600円 164万7000円

 

時短パートからフルタイム勤務に変わるときの注意点

時短パートからフルタイム勤務に変わるときの注意点をまとめました。
 

・時短パートでも厚生年金保険に加入できる可能性がある

2016年10月から適用された改正法により、短時間労働者でも一定の条件を満たせば、厚生年金保険や健康保険の被保険者になれます。
 
そのため、時短パートの勤務形態のままでも厚生年金保険に加入できる可能性があります。ただし、被保険者になれるのは以下すべての条件を満たした人のみです(4分の3基準に該当する者は除く)。


・週の所定労働時間が20時間以上

・雇用期間の見込みが1年以上(2022年10月からは2ヶ月超)

・賃金の月額が8万8000円以上

・学生でない(夜間学部過程や休学中などは除く)

●短時間労働者を除いた総数が常時500人を超える適用事業所に雇用(2022年10月からは100人超、2024年10月からは50人超)

時給1000円であれば、週22時間×4週間で労働時間や賃金の条件を満たせます。
 

・扶養家族から外れる

時短パートからフルタイム勤務になると、ほとんどのケースで「130万円の壁」を超えてしまい、配偶者の扶養対象から外れます。扶養から外れると、厚生年金保険料に加えて雇用保険料・健康保険料などの支払いが発生したり、世帯の所得税・住民税が増加したりする可能性があります。
 
配偶者の扶養内である人がフルタイム勤務を検討する場合は、各種社会保険料や税金の支払い額と、自身の収入+年金額の兼ね合いを見ながら判断しましょう。
 

・有給の発生について確認する

「6ヶ月の連続勤務のなかで、事業所の全労働日の8割出勤すること」を満たすと、パートやアルバイトでも有給が発生します。
 
正社員と同等程度のフルタイム勤務であれば、ほとんどのケースで条件を満たせるはずです。時短パートのときに有給が発生していなかった人は、事業主や社員の方に確認を取ってみましょう。
 
出典
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集