更新日: 2022.05.17 国民年金

国民年金保険料未納の理由は何が一番多い?

国民年金保険料未納の理由は何が一番多い?
「令和2年(2020年)度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、国民年金の第1号被保険者は約1449万人(任意加入を含む)で、2017年度分の国民年金の最終納付率は77.2%となりました。納付率は年々上昇傾向にあります。未納者の数も減少傾向にありますが、24ヶ月以上の未納者は2020年時点で115万人います。
 
国民年金保険料を未納する理由はどのようなものが多いのか、解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収1000万円以上の世帯でも7割が「保険料の高さ」を指摘

2020年に厚生労働省が行った「国民年金被保険者実態調査」において、納付対象月の国民年金保険料を納めていない人にその理由を聞いたところ、最も多いのは「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と答えた割合で、76%にのぼりました。
 
年齢別にみると最も多いのは50~54歳で80.3%、最も少ないのは20~24歳で67.7%です。世帯の総所得別に保険料を支払わない理由をみていくと、年収500万円~1000万円未満の世帯の71.1%、1000万円以上の世帯の71.4%で「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と回答したことがわかりました。
 
さらに「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」を選んだ理由を問うと、「もともと収入が少ない、あるいは不安定だったから」を選んだ割合が最も高く61.9%、次が「保険料より優先度の高い支出が多かったから」の17.7%で、「失業、倒産、天災、事故、病気などにより所得が低下したから」の15.2%を上回りました。
 
一方、国民年金保険料を納めていないことへの意識を尋ねたところ、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」と回答した人が70.9%にのぼりました。ただ年収1000万円以上の世帯では55.8%にとどまり、「国民年金はあてにしていないので納めるつもりはない」と回答した割合が、年収1000万円未満の世帯と比べて高くなっています。
 

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免除・猶予制度は4分の3、強制徴収は過半数が知っている

第1号被保険者の、国民年金保険料の最終納付率は77.2%と高いですが、この数字には全額免除・猶予者の割合を含んでいます。第1号被保険者のうち、実際納付しているのは726万人で50.1%、全額免除・猶予者が609万人で42%、2年以上の未納者が7.9%を占めています。
 
この保険料の全額免除・一部免除の制度について、知っているかどうかを未納者に尋ねたところ、74.3%が知っていると答えました。一方で50歳未満を対象とした納付猶予制度については、31.2%にとどまっています。
 
国民年金保険料の支払いは義務で、長く滞納し続けると財産の差し押さえなど強制徴収を受ける場合があります。この「強制徴収」を知っているかどうか尋ねたところ、未納者の半数以上が知っていると回答しています。保険料免除制度や強制徴収といったしくみを理解しながらも、国民年金保険料の滞納を続けている人が一定数いることがわかっています。
 

単なる困窮ではなく制度への不満も

国民年金保険料を納めていない人の76%が経済的な理由で、国民年金保険料を納めていないと答えています。ただし年収1000万円以上の世帯でも、経済的理由を挙げている割合が7割です。単に困窮を理由としているのではなく、国民年金制度をあてにしていないことや、支払いに見合う対価が支払われないことへの不満も背景にあることがうかがえます。
 

出典

厚生労働省 国民年金被保険者実態調査
厚生労働省 国民年金の加入・納付状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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