更新日: 2022.05.19 iDeCo(確定拠出年金)
iDeCoで節税! 所得税や住民税の節税効果はどれくらい?
そんな人におすすめなのが、iDeCoと呼ばれている個人型確定拠出年金です。iDeCoは年齢条件さえ満たせば誰でも加入できる上に、節税効果もあります。
この記事では、iDeCoのメリットの中でも節税にテーマを絞って詳しく解説します。iDeCoに興味のある人はぜひご一読ください。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は税金がかからない
iDeCoの掛け金は積立金ではなく、掛け金を運用して利益を得ることを目的としています。つまり、運用益を得て増やした掛け金を、将来、公的年金に上乗せし、老後の資金として受け取ることがiDeCoの趣旨です。
そのため、掛け金や運用益は所得や利益とみなされ、税金の対象となることが考えられます。しかし、老後の生活資金を確保するという目的があるため、国は iDeCoの掛け金や利益に関しては課税対象とせず、税制面で優遇しています。
iDeCoと企業型確定拠出年金の税制優遇での違い
確定拠出年金には企業型DCとiDeCoの2種類がありますが、税制優遇で違いはあるのでしょうか。企業型DCとiDeCoの税制優遇の違いは図表1でご確認ください。
図表1
企業型DC | iDeCo | |
---|---|---|
掛け金 (拠出金) |
企業が拠出金を支払うため、従業員に対する給与とみなされるが、所得税・住民税の対象にならない | 個人所得から拠出金を支払うが、拠出金は所得税・住民税の対象とならない |
運用益 | 通常投資などによる運用益には所得税がかかるが、DCによる運用益は非課税 | 同左 |
受取金額 | ◆年金として受け取る場合 ・公的年金等控除の扱い ◆一時金で受け取る場合 ・退職所得控除扱い |
同左 |
図表1のように拠出金の支払者に違いはありますが、加入者の税制上のメリットはまったく同じです。
iDeCoの掛け金の上限は
iDeCoの掛け金(拠出金)には上限が存在します。税金面で優遇されているため、無制限に拠出されてしまうと国の税収に大きな影響があるからです。iDeCoの掛け金の上限は加入資格によって違うので、図表2でご確認ください。
図表2
加入資格 | 掛け金の上限 |
---|---|
国民年金第1号被保険者 (20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など) |
月6.8万円 ※国民年金基金、国民年金付加保険料との合算枠 |
国民年金第2号被保険者 (民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者) |
◆会社に企業年金がない場合 ・月2.3万円 ◆企業型DCに加入している場合 ・月2.0万円 ◆企業型DCとDB※に加入、DBのみに加入、または公務員など ・月1.2万円 |
国民年金第3号被保険者 (第2号被保険者に扶養されている配偶者) |
月2.3万円 |
※DBは確定給付企業年金のことで、給付金が確定している
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iDeCoで節税できる金額をシミュレーション
iDeCoの掛け金は、法律によって課税対象から控除されます。そのため、所得税や住民税を節税できるという大きなメリットがあります。この節税効果は具体的にいくらになるでしょうか。
所得税・住民税の節約金額
iDeCoの公式ページに税制優遇シミュレーションがあるので、それを使って節税金額を調べた結果が図表3です。
図表3
シミュレーション条件 | iDeCo未加入 | iDeCo加入 |
---|---|---|
年収400万円、年齢30歳、掛け金2万円 | ・所得税 8万5220円 ・住民税 17万5440円 |
・所得税 7万3220円 ・住民税 15万1440円 |
所得税の節税額 | ― | 1.2万円 |
住民税の節税額 | ― | 2.4万円 |
合計節税額 | ― | 3.6万円 |
※住民税は一律10%として計算
上記の表では年間3.6万円の節税となるので、収入が変わらないと仮定し、30歳から60歳まで続けると総額108万円の節税になります。
運用益と受け取るときの節税額
iDeCoでは、運用益と60歳に達したときに受け取る金額にも、優遇税制が適用されます。仮に年3%の運用益があったとして、月2万円の拠出金で節税額を計算してみましょう。
運用益:2万円×12ヶ月×3%=0.72万円
源泉分離税:0.72万円×20.315%×30年=4.388万円
上記では単利で計算していますが、複利で運用すれば上記以上の節税額が見込めます。また、運用益を除いた積立総額は、毎月2万円で30年経過すると720万円になります。これも通常は受け取るときに課税対象となります。
しかしiDeCoの場合は、以下の税制優遇措置が取られています。
◆一括で受け取る場合、退職所得控除を適用(勤続40年で計算)
・所得税: 720万円× 23%-63.6万円=102万円
・退職所得控除: 800万円+70万円×(40年-20年)=2200万円(控除額)
退職所得控除を受けると2200万円まで控除されるので、720万円+退職金が2200万円以下であれば税金はかかりません。一括で受け取る場合は、約150万円の節税になります。
◆年金として受け取る場合、公的年金等控除を適用
720万円を5年で受け取るとすると、年間144万円の年金(雑所得)となりますが、公的年金等控除が適用されます。
・所得税:144万円×5%=7.2万円
・公的年金等控除後:(144万円×75%-27.5万)×5%=4.025万円
上記の差額の5年分は3.175万円×5年=15.875万円になります。すべての節税額をまとめると図表4のとおりとなります。
図表4
節税項目 | 節税金額 (30年分) |
---|---|
所得税および住民税 | 108万円 |
運用益 | 約4万円 |
受取年金額 | 102万円 ※一括受取の場合 |
合計 | 約214万円 |
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iDeCoも企業型DCも節税効果がある
iDeCoも企業型DCも同じ節税効果があるので、どちらを利用しても、あるいは併用しても節税面で差が付くことはありません。すべての節税効果を具体的に計算してみると、30年という長期のスパンでは200万円を超える節税メリットがあることが分かりました。
老後の生活費に不安がある方は、この機会に、iDeCoをはじめとした確定拠出年金の加入を検討してみましょう。
出典
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoのイイコト(メリット)
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト かんたん税制優遇シミュレーション
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部