定年退職後5年間働き続けた場合、どのくらい年金受給額は増える?
配信日: 2022.05.19
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
厚生年金は70歳まで加入できる
知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、厚生年金は最大70歳まで加入することができます。そのため、60歳ないし65歳で定年した後、もう5年間働いて将来受け取る年金額を増やそうということは十分可能なのです。
また、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどで働いたとしても、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上であれば、厚生年金に加入することができます。
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厚生年金加入中は国民年金にも加入していることになる
厚生年金に加入している間は国民年金にも加入していることになります。国民年金を満額受け取るには保険料を40年(480月)支払う必要がありますが、1ヶ月でも未納や猶予のままとなっている期間があると将来、国民年金を満額受け取ることはできません。
そのため、過去国民年金保険料が未納となっていたり、猶予されている期間などがあり、追納しておらず満額受け取れないという場合、定年後も働き厚生年金に加入することで国民年金も増加します。
定年後、5年間で厚生年金はどれくらい増える?
定年後厚生年金に加入すると、主に厚生年金の報酬比例部分が増加します。報酬比例部分は平成15年4月以降、下記のような計算式で算出されます。
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
平均標準報酬額とは、今まで厚生年金に加入していた期間の標準報酬月額と標準賞与の合計を厚生年金の加入月数で割ったものになります。つまり、5年間働いた場合にどれくらい年金が増えるのかは、収入などによって異なるということです。
今回はシミュレーションということで、平均標準報酬額が20万円の方、30万円の方、40万円の方とで比較していきます。
平均標準報酬額が20万円の方
平均標準報酬額が20万円の方の場合、5年間働くことで増える年金額は厚生年金で6万5772円となります。
平均標準報酬額(20万円)×5.481/1000×加入月数(60月)=6万5772円
仮に国民年金の保険料支払いについて5年間猶予を受けていたという方の場合、さらに国民年金部分が9万7224円程度増加します。
77万7792円(年額)×60/480(国民年金分納付月数/最大加入月)=9万7224円
平均標準報酬額が30万円の方
平均標準報酬額が30万円の方の場合、5年間働くことで増える年金額は厚生年金で9万8658円となります。
平均標準報酬月額(30万円)×5.481/1000×加入月数(60月)=9万8658円
仮に国民年金の保険料について3年ほど猶予を受けていたという期間がある場合、さらに国民年金部分が5万8334円程度増加します。
77万7792円(年額)×36/480(国民年金分納付月数/最大加入月)=5万8334円
平均標準報酬額が40万円の方
平均標準報酬額が40万円の方の場合、5年間働くことで増える年金額は厚生年金で13万1544円となります。
平均標準報酬月額(40万円)×5.481/1000×加入月数(60月)=13万1544円
仮に国民年金の保険料について1年ほど猶予を受けていたという方の場合、さらに国民年金部分が1万9445円程度増加します。
77万7792円(年額)×12/480(国民年金分納付月数/最大加入月)=1万9445円
定年後も5年間働くことで年間6万円以上年金額を増やすことが可能
定年退職後も厚生年金に加入して働くことで、将来受け取る厚生年金や国民年金を増やすことができます。働いている間の給与などにもよりますが、5年間働くことで年間6万円以上年金額を増やすことも不可能ではありません。
もし、定年後も働くか悩んでいる場合、何年働くか、将来受け取る年金がいくら増えるかという点も考慮して働き方や働く年数を決めてみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士