更新日: 2022.06.10 厚生年金
加給年金の支給停止ルールの見直し。もらえなくなるのはどんな夫婦?
支給停止ルールの見直しにより、これまで加給年金の支給対象だった方が、支給停止の対象になる場合があります。加給年金額は小さくないため、どのような点が変更になったのか早い段階で知っておくことが大切です。
ここでは、加給年金の受給条件や年金額、支給停止ルールの見直された内容などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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加給年金とは
加給年金とは、厚生年金加入者に扶養する配偶者や子どもがいる場合に、支給される年金のことです。
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳になったときに、その方に生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合は、加給年金が加算されます。給年金額は、配偶者や子どもなど対象者で異なります。
ただし、加給年金を受け取るためには、受給者や配偶者、子どもが要件を満たしておかなければいけません。
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加給年金の支給停止規定の見直しで変わったこと
2022年4月から、年金制度の改正に伴い、加給年金の支給停止規定の見直しが行われました。
改正前は、配偶者が老齢厚生年金(※1)、退職共済年金(※2)、障害年金を受け取る権利があり、一部でも支給されている場合では加給年金は支給停止となり、配偶者の年金が全額支給停止されている場合、加給年金は支給されていました。
しかし、改正後は、配偶者の老齢厚生年金または退職共済年金が全額支給停止されていても、受け取る権利(在職で支給停止など)がある場合は、加給年金は支給停止となります。
※障害年金については変更ありません。
配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金が全額停止:加給年金支給
配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金が一部でも支給:加給年金支給停止
配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金が全額停止:加給年金支給停止
配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金が一部でも支給:加給年金支給停止
ただし、以下の要件をすべて満たす場合は、加給年金が継続となる経過措置が設けられています。
・2022年3月時点で本人の老齢厚生年金、もしくは障害厚生年金に加給年金が加算されている
・2022年3月時点で配偶者に厚生年金保険被保険者期間20年(240月以上)の老齢厚生年金を受け取る権利があり全額支給停止されている
※1:被保険者期間20年以上もしくは男性40歳・女性35歳以降15年以上の場合(共済組合等の加入期間は除く)
※2:組合員期間20年以上
加給年金の受給条件
加給年金額を受け取るには、次のような条件があります。
・65歳以上で厚生年金を受給している
・65歳未満で定額部分を受給している
・厚生年金の被保険者期間が20年以上ある
・厚生年金の被保険者期間が20年未満の場合は、男性は40歳、女性は35歳以降で被保険者期間が15~19年ある
・生計を維持している配偶者もしくは子どもがいる
また、配偶者や子どもには、次のような条件があります。
・配偶者は65歳未満である
・子どもは18歳到達年度の末日まで(1・2級の障害状態にある子どもは20歳未満)
・配偶者が被保険者期間20年以上の厚生年金を受け取る権利がない
・年収850万円未満(所得655万5000円未満)である
このような条件を満たす場合に、年金に加給年金が加算されます。
加給年金額
加給年金額は、図表の1のように対象者で異なります。
【図表1】
対象者 | 加給年金額(年額) | 年齢制限 |
---|---|---|
配偶者 | 22万3800円 | 65歳未満 ※大正15年4月1日以前生まれの場合は年齢制限はありません。 |
1人目・2人目の子ども | 各22万3800円 | 18歳到達年度の末日までの子ども ※1級・2級の障害状態にある子どもは20歳未満 |
3人目以降の子ども | 各7万4600円 | 18歳到達年度の末日までの子ども ※1級・2級の障害状態にある子どもは20歳未満 |
また、厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者の加給年金に3万3100~16万5100円が特別加算されます。生年月日に応じた特別加算額と合計額は図表2のとおりです。
【図表2】
受給者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額+特別加算額 |
---|---|---|
昭和9年4月2日~ 昭和15年4月1日 |
3万3100円 | 25万6900円 |
昭和15年4月2日~ 昭和16年4月1日 |
6万6000円 | 28万9800円 |
昭和16年4月2日~ 昭和17年4月1日 |
9万9100円 | 32万2900円 |
昭和17年4月2日~ 昭和18年4月1日 |
13万2100円 | 35万5900円 |
昭和18年4月2日以後 | 16万5100円 | 38万8900円 |
配偶者が年金を受け取る権利がある場合は支給停止となる
加給年金の支給停止規定が見直されたことで、加給年金の対象者である配偶者の老齢厚生年金または退職共済年金が全額支給停止されていても、受け取る権利(在職で支給停止など)がある場合は加給年金が支給停止となります。
対象となる場合は、加給年金が支給停止となり、年金収入が減ることになるため注意が必要です。経過措置も設けられていますので、要件を満たすか確認してみてください。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 生計維持
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部