更新日: 2019.09.18 その他年金

退職で企業年金脱退!受け取り方を選べる場合の考えるべき4つの条件はこれ。

退職で企業年金脱退!受け取り方を選べる場合の考えるべき4つの条件はこれ。
同じ会社にずっと勤めていると、あえて会社の制度について再確認したり調べようと思うことは少ないのではないでしょうか?

今回は25年間勤めた会社を退職することになり「企業年金の受け取りについて」決めるよう総務からいわれ、慌てて相談にきた人の事例を紹介します。
塚越菜々子

執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

企業年金は公的年金とは違う

「年金」というと、年を取ったときに国からもらうものだとイメージしている人が多いかと思います。確かに実際のところ65歳を過ぎて「公的年金」と呼ばれるものを受け取っている人が多いですね。一般に「年金」といえばそのことを指していることがほとんどです。
 
日本の年金制度はよく3階建てだといわれます。
 
1階部分は国民年金。主婦や自営業者などはこの部分です。そしてサラリーマン(や公務員)の多くはこれに加えて2階部分の厚生年金(共済年金)にも加入しています。ここまでがいわゆる「公的年金」のくくりです。
 
そしてさらにこの上の3階部分にあるのが「企業年金」です。企業年金は、もともとは「退職金の分割払い」という意味合いでのスタートでした。そのため国が運営しているのではなくそれぞれ会社や団体で運営されています。
 
この点をしっかりと理解しておかないと、問い合わせたり調べたりするときに混乱してしまいますので、十分に気をつけましょう。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

一時金か年金形式か選べる場合

今回、相談にきた人は勤続年数が長かったため、加入の企業年金の規定により、退職とともに一度で受け取る「一時金」と60歳になってから分割で受け取る「年金」のどちらかを選べることになりました。
 
このルールは、それぞれ加入しているところによって違ってくるので、わたされてあるお知らせや制度のしおりなどを、各自確認する必要があります。多くの場合、勤続年数(加入年数)が短い場合は一時金のみ。長くなると年金形式も選べるということになっているようです。
 
どちらを選んだほうがいいかは、条件をよく見てから考えましょう。
 
決めるポイントとしては「トータルの受け取り額」「そのお金を使う予定」「年金の安全性」「自分で運用できるかどうか」などになります。
 
●トータルの受取額
相談者のケースの場合、一時金で受け取る場合は約110万円。年金形式の場合は15年後の60歳から終身で年間約8万円という条件でした。年金で受け取る場合は終身ですから、死亡するまで受け取ることができます。
 
毎年8万円を受け取り、トータルの受取額が110万円を超えるのは約14年。74歳まで生きて受給すれば、いま一時金でもらうより受取額は大きくなります。
 
●そのお金を使う予定
年間約8万円の年金ですから、1カ月あたり約6700円。お小遣いの足し……という程度でしょうか。収入のない老後だとしたら貴重かもしれませんが、生活費の補填には当てにしにくいものです。
 
では、一時金でもらった場合はどうでしょうか? 100万円を超えるお金を老後より先に充てたいものがあるということでしたら、一時金で受給してしまうのも手です。
 
年金形式でもらう場合、国からもらう年金とは違いますから、60歳になり受給できるようになったときに、別に手続きなども必要になってきます。その手間についても考慮しておきましょう。
 
●年金の安全性
先に説明したとおり、国の年金とは違う団体で企業年金は運営されています。実は昨今、この企業年金は運営が難しく、解散などのケースも多くなっています。
 
数年後に年金形式での受給ができるようになるのならいいですが、あと15年後の場合は、そのときに支払元である企業年金がどうなっているかはわかりません。もしかしたら据え置いている間に解散になってしまい、資金難から受給金額が減ってしまう可能性も否定はできません。
 
●自分で運用できるかどうか
特に使う予定がないから置いておくというのも一つの手ですが、現状の低金利の時代に、企業年金の運用の利率はそれほど高くなっていません。今回の相談者の場合は現状1.1%とのことでした。
 
いま受け取れる一時金を預けておくと、通常の預金よりは高い利率ですが、それほど増えることは期待できません。
 
では、一時金で受け取って運用したらどうなるでしょうか。110万円を3%で15年運用できれば、60歳時点では171万円になります。15年で3%というのは決して非現実的な数字ではありません。一度に投資するのではなく、それをもとに積み立てていくという方式もあるでしょう。
 
一切の資産運用をせず、預金だけで資産を形成していくのは難しい現状「どうせ老後の生活費のあてにはならない」のなら、一時金で受け取り資産運用を始めてみるのも一つの手かもしれません。
 
今回の相談者は、国の厚生年金の受給見込み額がそれほど少なくなかったことと、企業年金の団体の先行きが心配なことなども踏まえて、一時金で受け取ることになったそうです。
 
企業年金は、加入しているところのルールによって、受け取り方も金額も変わってきます。退職時に受け取り方の選択を迫られて慌てないように、ぜひ在職中から制度を確認してください。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催


 

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集