更新日: 2022.08.09 厚生年金

いまさら恥ずかしくて聞けない……。【厚生年金保険料】ってなに?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

いまさら恥ずかしくて聞けない……。【厚生年金保険料】ってなに?
会社に勤務している人の大半は厚生年金に加入しています。同年金の保険料は会社との折半のため、給与からの天引きが原則です。そのため、加入者の中には保険料を意識せずに生活している人も少なくありません。
 
とはいえ、一生懸命働いて稼いだ給与から支払う保険料について、基本的な知識は身に付けておきたいものです。
 
そこで、本記事では厚生年金の概要と保険料の決まり方などをわかりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

厚生年金とは? その概要と保険料の決まり方を解説

日本の公的年金、基礎年金(国民年金)と厚生年金の「2階建て」で構築されています。「1階」部分の基礎年金の保険料は月額1万6590円(令和4年度)ですが、「2階」部分の厚生年金保険料は給与や賞与などによって異なります。
 

・厚生年金の概要

厚生年金は会社員や公務員が加入する「公的年金」で、被保険者は「第2号被保険者」と呼ばれます。厚生年金は基礎年金との2階建てになっているため、被保険者に該当する人は2つの年金に加入することになります。
 
厚生年金の支給開始年齢は65歳です。ただし、加入期間が1年以上あって、基礎年金の受給資格期間も満たしている場合、生年月日によりますが、60歳から64歳まで特別支給の「老齢厚生年金」が受給できます。
 
なお、同年金に関しても支給開始年齢が段階的に引き上げられ、男性の1961年4月2日以降生まれ、女性の1966年4月2日以降生まれには支給されなくなります。
 

・厚生年金が強制適用される事業所とは

厚生年金が強制的に適用されるのは「株式会社などの法人事業所(事業主のみの場合を含む)」と、「従業員が常時5人以上いる個人事業所(一部を除く)」です。これら事業所に被保険者の該当者がいる場合には加入する必要があります。
 

・被保険者になるための要件

「特定適用事業所に常時使用されている70歳未満の人」は、国籍、性別、年金受給の有無に関係なく厚生年金の被保険者になります。
 
なお、「常時使用されている」状態には雇用契約書の有無は関係ありません。日本年金機構では、「適用事業所で常用的に使用されて給与や賃金の授受が発生している関係」を、「常時使用されている」状態と定義しています。そのため、パート・アルバイトであっても、本定義に該当すれば被保険者です。
 
また、次の2要件を満たす人も被保険者となります。
 
1つ目は、「1週間の所定労働時間や1ヶ月の所定労働日数が、同事業所で同業務に従事している通常労働者の4分の3以上」であることです。
 
2つ目は、「1週間の所定労働時間か1ヶ月の所定労働日数のどちらかが通常労働者の4分の3未満、または両方が通常労働者の4分の3未満」の人が、(1)1週間の所定労働時間が20時間以上(2)雇用期間が1年以上見込まれる(3)賃金が月額8万8000円以上(4)学生でない(5)特定適用事業所か任意特定適用事業所に勤務しているという、5要件すべてを満たしている場合です。
 
なお、(2)は雇用期間が2ヶ月を超えると見込まれると令和4年10月からは除外されます。
 

・厚生年金保険料の決め方

厚生年金保険料は事業所と被保険者が半分ずつ負担します(労使折半)。その保険料は、給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)に定率の保険料率をかけて算出されます。当保険料率は、平成16年からの段階的な引き上げが平成29年9月に終了し、現在(令和4年度)の定率は全額が18.3%、折半率は9.15%です。
 
なお、標準報酬月額は基本給に各種手当を含めた税引き前の給与で、標準賞与額はボーナスや期末手当といった税引き前の賞与(1000円未満切り捨て)のことです。ただし、賞与に関しては支給1回につき150万円が上限とされていて、その金額を超えた場合は一律150万円として計算されます。
 
保険料の算出は事業所が行うため、被保険者が給与明細の控除欄で知るのは折半後の自己負担額です。そのため、実際の保険料は同金額の2倍ということになります。
 

保険料が勤め先と折半できるのが大きなメリット

厚生年金は2階建てになっている分だけ、将来受け取る年金額が基礎年金のみの場合よりも多くなります。その分だけ保険料は高くなりますが、勤め先と折半できるため被保険者の負担が半減するため、被保険者にとって大きなメリットであるといえます。
 
また、同年金の保険料は給与からの天引きのため、自分で納付する手間が省けるというのもメリットの1つです。
 

出典

日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 保険料の計算方法について
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第3 公的年金制度の体系(年金給付)
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年3月分結果速報
東京主税局 給与明細の見方
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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