更新日: 2022.08.19 国民年金

国民年金保険料だけ払って60歳になったけど、満額でも全然足りない! これから年金を増やすにはどうしたらいい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

国民年金保険料だけ払って60歳になったけど、満額でも全然足りない! これから年金を増やすにはどうしたらいい?
国民年金の保険料は20歳から60歳まで納付します。国民年金保険料だけを満額納付した場合の受給額は、令和4年(2022年)度の場合、月額6万4816円のため、「この金額ではまったく足りない」と考える人も少なくありません。
 
不足分は貯蓄や働いて補うことも可能ですが、増やせるものなら、年金もできる限り増やしたいものです。
 
「繰下げ受給」という制度を利用すれば、年金の増額が可能になります。本記事では、当制度の仕組みについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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繰下げ受給とは? その仕組みを紹介

年金の繰下げ受給は、老齢年金を65歳で受給せずに繰り下げて受け取る制度のこと。当制度の利用によって、年金の増額が可能になります。
 
また、65歳時に繰下げ受給の申し出を行わない場合は、「繰下げ待機」を選択することも可能です。
 

繰下げ増額率とは

繰下げ受給は、66〜75歳までの間であれば1ヶ月単位で繰り下げることができます。
 
繰り下げによって加算される額は、増額率(繰下げ受給手続きを行った時点で決定)で表され、繰り下げ1ヶ月につき0.7%ずつ増額されます。75歳まで繰り下げた場合の増額率は84%です。
 
ただし、昭和27年4月1日以前に生まれた人や、平成29年3月31日以前に老齢年金を受給する権利を有している人の繰下げ年齢は、70歳が上限です。そのため、増額率は最大42%になります。なお、各年齢ごとの増額率は、日本年金機構の繰下げ増額率早見表で確認できます。
 

繰下げ受給の主な注意点

国民年金の受給者が、繰下げ受給を行う際の主な注意点は、次の6点です。

(1)65歳に達した時点で老齢基礎年金の受給権がある場合、75歳到達月(75歳の誕生日前日の属する月)を過ぎて請求しても増額率は増えません。
 
(2)65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前日までの間に、遺族給付や障害給付を受給する権利がある場合は、繰下げ受給の申し出ができません。
 
(3)66歳到達日以降の繰下げ待機期間中にほかの公的年金(遺族年金など)の受給権を得た場合には、その時点で増額率が固定されます。そのため、年金請求手続きを行っても増額率は増えません。なお、増額分はほかの年金が発生した月の翌月分から受給できます。
 
(4)繰下げ受給によって、年金生活者支援給付金が停止されたり、医療保険・介護保険などの保険料や税金などが増額になったりする可能性があります。
 
(5)繰下げ受給の申し出を遺族が代理することはできません。なお、被保険者が繰下げ待機中に亡くなり、遺族からの未支給年金の請求が可能な場合は、65歳時点の年金額を決定したうえで、過去分が未支給年金として一括支給されます。ただし、請求時点から5年以上前の年金は時効によって受給権が失効するため、申し出ても受け取れません。
 
(6)繰下げ待機を選択した場合は、繰下げ受給をせずに65歳からの年金をさかのぼって受け取れます。ただし、70歳以降に65歳からの年金をさかのぼって受給する場合は、手続き時点から5年以上前の年金は時効によって受け取れなくなります。

 

繰下げ受給の手続方法

繰下げ受給の手続きは66歳以降で繰り下げ受給を希望する時期に、近隣の年金事務所か街角の年金相談センターへ「繰上げ請求書」を提出します。当請求書は日本年金機構のウェブサイトでダウンロードできます。
 

繰下げ受給は長生きする自信がある人にとっては検討の価値あり

国民年金を増やしたい場合には、繰下げ受給で増額できます。
 
当制度では、66〜75歳間の希望する年齢までの繰り下げが可能で、75歳まで繰り下げた場合の増額率は84%です。令和4年度の老齢基礎年金は77万7800円のため、年額65万3352円の増額になります。月額だと5万4446円の増額です。
 
年金を大きく増やせるため、長生きする自信がある人にとっては検討に値する制度であるといえます。
 

出典

日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 年金の繰下げ受給
公益財団法人 生命保険文化センター 老齢年金の繰上げ・繰下げ受給について知りたい
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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