年金を「60歳」で受け取る場合、何歳でお得になりますか?
配信日: 2022.10.20
減額されても早くもらえるならその方が得じゃないかと考える人もいるかもしれません。今回は繰上げ受給の仕組みと、仮に60歳から受け取った場合には何歳でお得になるのか、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも繰上げ受給とは
年金を65歳より以前に受け取るのが繰上げ受給、65歳以降に受け取るのが繰下げ受給です。繰上げ受給をすると繰上げた年月に応じて年金額が減額され、逆に繰下げ受給をすると繰下げた年月に応じて年金額が加算されます。
繰上げできるのは最長で60歳までです。減額は繰上げた月数に0.4%を掛けた額になります。例えば、60歳まで繰上げた場合は5年(60ヶ月)なので24%の減額となるわけです。
いくら減額されるのかは繰上げ受給を申請した時点で決まります。その後は一生その額のままなので、あらかじめしっかり計算しておくことが大切です。仮に令和4年度の老齢基礎年金額で5年間の繰上げ受給を申請したとしましょう。
もしも満額の77万7800円(月あたり6万4816円)を受け取れるはずだった場合、繰上げ申請することで受給額は「77万7800円×(100%-24%)」の59万1128円(月あたり4万9260円)となります。
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60歳から受給した場合、納めた保険料を超えるのは何歳から?
それでは、仮に60歳から老齢基礎年金を受給した場合、何歳で受給した金額が納めた保険料を超えるのでしょうか。まず、加入期間である40年間すべて全額支払ったとします。
国民年金の保険料は年によって変動するので、令和4年度の保険料を基に計算しましょう。令和4年度の国民年金保険料は1万6590円です。そのため、40年間で納める保険料は「1万6590円×480ヶ月」で796万3200円とします。
先ほど計算したとおり、国民年金保険料を満額受け取れる人が5年間の繰上げ受給を請求した場合、受給額は59万1128円(月あたり4万9260円)です。月あたり4万9260円を積み重ねていくと、162ヶ月目で納めた保険料を超える798万120になります。
つまり、73歳5ヶ月目以降は得になるというわけです。ちなみに、同じ条件で繰上げ受給を請求しなかった場合、122ヶ月目で納めた保険料を超えます。その場合には75歳2ヶ月目以降は得になるという計算です。
繰上げ受給は総額では損になる
繰上げ受給を請求する前に知っておくべきポイントは、繰上げ受給を選択すると長生きすればするほど受給額が相対的に少なくなってしまうということです。老齢基礎年金満額という条件で計算してみましょう。80歳の段階では、5年間の繰上げ受給をした人の受給総額は1182万2400円です。
一方、通常の受給をした人の受給総額は1166万6880円になります。90歳の段階では、5年間の繰上げ受給をした人の受給総額は1773万3600円です。一方、通常の受給をした人は1944万4800円となります。
繰上げ受給するかどうかの判断はよく考えて行おう!
繰上げ受給をすると65歳よりも早い時点から年金を受給できますが、その分受給額が少なくなってしまいます。仮に5年間の繰上げ受給を選択した場合の減額率は24%です。5年繰上げ受給をすると、通常受給よりも早い73歳あたりで支払った保険料を受給額が超えるでしょう。
ただし、24%の減額は生涯続きます。そのため、長生きすればするほど受給した総額は相対的に少なくなります。早く回収できるから得だと考えるか、ほかの人よりももらえる金額が少なくなるから損だと考えるかは人それぞれだといえるでしょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部