更新日: 2022.10.25 その他年金

夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合、もらえる年金は妻の方が多くなることもあるって本当?

夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合、もらえる年金は妻の方が多くなることもあるって本当?
夫が亡くなった場合は妻が、妻が亡くなった場合は夫が、遺族年金を受け取ることができる可能性があります。この遺族年金は妻の方がもらえる金額が多いといわれていますが、実際のところ夫と妻、どちらの方が多く受け取ることができるのでしょうか。確認してみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺族年金の種類

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。まずは、それぞれの概要について見ていきます。
 

遺族基礎年金とは

遺族基礎年金とは、亡くなった方が生前、国民年金(厚生年金に加入している方も含む)に加入していた場合、その方に生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金です。遺族基礎年金の場合、受給対象となるのは子のある配偶者または子に限られています。
 
ここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
 
なお、亡くなった方が65歳未満の場合は死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(死亡日が令和8年3月末までの場合)など、遺族が遺族基礎年金を受け取るためには一定の要件を満たす必要があります。遺族年金の額は77万7800円を基準に子の数に応じて加算されます。
 

遺族厚生年金とは

遺族厚生年金とは、亡くなった方が生前、厚生年金に加入しているなど一定の要件を満たした場合、その方に生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金です。遺族厚生年金の場合、受給対象となるのは子のある配偶者や子だけではなく、一定の要件の下、子のない配偶者や父母なども含みます。
 
図表1
 

 
出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)より「遺族厚生年金の受給要件」
 
遺族厚生年金の年金額は、原則、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。また、上記受給要件の1、2および3に基づく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして算出されます。
 

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配偶者が亡くなったとき、年金を多く受け取れるのは夫より妻?

夫がなくなった場合に妻が受け取る年金額と、妻が亡くなった場合に夫が受け取る年金額、遺族基礎年金であればどちらも基本的に違いはなく、妻であろうと夫であろうと受け取れる金額は同額となります。
 
妻と夫で差が付くのは遺族厚生年金です。遺族厚生年金においては、妻が亡くなった際に夫が受け取る年金額より、夫が亡くなった際に妻が受け取る年金額の方が多くなることがあります。中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算という制度があるためです。
 
中高齢寡婦加算とは、一定の条件に該当する妻が40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に上乗せで支給されるものです。加算額は58万3400円です。
 
経過的寡婦加算とは、昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳以上で遺族厚生年金の受給権を得たとき、もしくは遺族厚生年金の受給権者である昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳に達したときに支給されるものです。加算額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせて、中高齢寡婦加算と同額になるよう決められています。
 
なお、遺族厚生年金自体の計算式(報酬比例部分の計算)においては夫と妻に違いはありません。つまり、夫より妻の方が多く遺族年金を受け取れるのは、前述2つの加算給付を受けられる場合のみ、となります。
 

遺族厚生年金は、夫より妻の方が受給額が多くなることがある

遺族年金は基本的に夫と妻どちらも受け取る金額に変わりはありません。しかし、遺族厚生年金に関しては、一定の要件を満たして中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算を受け取ることができる場合のみ、妻の方が受給額が多くなることがあります。
 
遺族年金は残された遺族の生活を支える重要な保障です。万一に備え、受給できる遺族年金の額がどれくらいになるのか確認しておくことをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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