更新日: 2022.10.28 その他年金

亡くなった方の年金の受給資格期間が「25年以上」ないと、遺族年金を受け取れない?

執筆者 : 柘植輝

亡くなった方の年金の受給資格期間が「25年以上」ないと、遺族年金を受け取れない?
遺族年金は、一家の生計を維持している方に万が一のことがあった際、遺族の方の生活を保障するための年金です。
 
遺族年金に対して「年金の受給資格期間が25年以上ないと受け取れないの?」と、もしものときに残された家族の生活を不安に思う方から質問が寄せられることがあります。そこで今回は、遺族年金の受給要件について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

受給資格期間とは


受給資格期間とは、年金を受け取るために必要な加入期間をいいます。具体的には、保険料を納めた期間や加入者であった期間などを合計した期間のことで、公的年金を受け取るためには合計10年以上あることが基本となっています。
 
この受給資格期間は国民年金の加入期間のほか、厚生年金などの加入期間も合算して算出します。また、保険料の支払いの免除や猶予が承認されている期間も受給資格期間に含まれます。
 

遺族年金における受給資格期間

遺族年金には、遺族基礎年金(国民年金加入者の遺族が受け取れるもの)と、遺族厚生年金(厚生年金加入者の遺族が、遺族基礎年金に上乗せして受け取れるもの)があります。
 
どちらも亡くなった方が生前に一定の受給資格期間がなければ、その方に生活を維持されていた遺族は遺族年金を受け取れないことになります。受給資格期間を含む、それぞれの遺族年金の受給要件について以下で説明します。
 

遺族基礎年金の場合

遺族基礎年金については、亡くなった方が以下の「1」から「4」の要件のうち1つでも満たし、かつ、要件に応じた受給資格期間を満たしていることで、子がいる配偶者や子が受け取ることができます。
 

 
出典:日本年金機構 「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
 
上記「1」または「2」の要件に該当する場合、死亡日の前日において保険料免除期間を含む保険料納付済期間が、国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要となります。
 
ただし、亡くなった方が65歳未満であれば、令和8年3月末日までの場合は死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ、受給資格期間の要件を満たしたと見なされます。
 
「3」または「4」に該当する場合については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間(一定の要件の下、年金額には反映されないものの受給資格期間には含まれる期間)を合算した期間が、25年以上あることが要件となっています。
 
つまり、遺族基礎年金の受給要件として25年以上の受給資格期間が必要とされるのは、国民年金(老齢基礎年金)を受給中の方や、受給資格を満たした方が亡くなった場合のみとなります。
 

遺族厚生年金の場合

遺族厚生年金については、亡くなった方が以下の「1」から「5」のいずれかの要件を満たし、かつ、要件に応じた受給資格期間を満たしている場合、その方に生計を維持されていた妻や子、夫、父母といった遺族の中で優先順位の高い方が受給対象となります。
 

 
出典:日本年金機構 「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
 
上記の要件のうち、「1」「2」の場合は遺族基礎年金と同様、死亡日前日での保険料納付済期間(免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要で、65歳未満であれば令和8年3月末日までは、直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすとされます。
 
また、「4」「5」の老齢厚生年金を受給中の方や受給資格がある方の場合も、遺族基礎年金と同じく25年以上の受給資格期間が必要となります。
 
つまり、遺族厚生年金の受給要件においても受給資格期間が25年以上必要となるのは、年金を受給中の方、または年金の受給資格を満たした方が亡くなった場合のみです。
 

受給資格期間が25年未満でも遺族年金を受け取れることがある

令和8年3月末日までの期間であれば、亡くなった方が一定の要件に該当し、直近1年の間に保険料の未納がない場合、年金の受給資格期間が25年未満であっても受給対象の遺族は遺族年金を受け取れることがあります。
 
ただし、亡くなった方が老齢年金の受給中であったり、65歳に達して老齢年金の受給権が発生していると、25年以上の受給資格期間がなければ遺族の方は遺族年金を受け取ることができません。
 
万が一のとき、残された家族が遺族年金を受給できないという状況を防ぐためにも、一家の生計を維持している方は自身の年金の受給資格期間について、最寄りの年金事務所に問い合わせておくなど一度確認してみてください。
 

出典

日本年金機構 さ行 受給資格期間

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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