更新日: 2019.09.18 その他年金
年金を増やす方法『付加保険料納付による付加年金』注意点を徹底解説
その特徴と注意点を紹介します。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
付加保険料と付加年金
老齢基礎年金は原則65歳からの受給で、保険料納付済期間が480月ある場合、満額の779,300円(平成30年度)を受給できます。そして、付加年金は老齢基礎年金を受け取れる人に加算される年金になります。
自営業者などの国民年金第1号被保険者や、65歳までの国民年金任意加入被保険者は、毎月納める国民年金保険料(平成30年度月額16,340円)に併せて、付加保険料を納付すれば、その納付実績に応じて、付加年金が加算されることになります。
付加保険料は月額400円で、付加保険料1月納付ごとに年額200円の付加年金が受け取れることになります(最大480月、96,000円の付加年金)。
つまり、2年付加年金を受け取れば、支払った付加保険料分の金額が受け取れたことになりますし、引き続き付加年金を受け取ると、支払った付加保険料を超える金額を受け取れることになります。
老齢基礎年金を繰上げ受給すると、付加年金も併せて繰上げ受給となり、繰上げ月数に応じて減額がされ、一方、老齢基礎年金を繰下げ受給すると、付加年金も併せて繰下げ受給となり、繰下げ月数に応じて増額がされます(図表1)。
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付加保険料についての注意点
月額400円の付加保険料を納められるのは、前述のとおり自営業者などである国民年金第1号被保険者や、65歳までの国民年金任意加入被保険者です。
従って、会社員・公務員である第2号被保険者や、第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者は、付加保険料を納付することができません。
また、第1号被保険者であっても、国民年金保険料を納付していない場合や免除されている場合は、付加保険料も納付できませんし、自営業者のための上乗せ給付制度である国民年金基金に加入した場合も、付加保険料は納付できません。
付加年金についての注意点
付加年金は老齢基礎年金と併せて受給できる年金です。10年以上必要な受給資格を満たしておらず、老齢基礎年金を受ける権利がない場合は、付加年金も受け取れません。
また、老齢基礎年金を受ける権利があっても、障害基礎年金あるいは遺族基礎年金を受給すると、老齢基礎年金は受給できないルールとなっておりますが、その場合は付加年金も受給できません。
例えば、障害基礎年金は障害等級1級の場合、974,125円(平成30年度)となり、満額の老齢基礎年金の1.25倍の金額です。
老齢基礎年金が満額の779,300円で、付加年金96,000円(480月分付加保険料納付)であっても、その合計金額は875,300円ですので、1級の障害基礎年金より少なくなります。
その場合、金額の高い障害基礎年金を選択すると、付加保険料を納めた分の付加年金は、老齢基礎年金と併せて受け取れないことになります(図表2)。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー