更新日: 2022.11.17 その他年金

「外貨建て個人年金保険」ってどんなもの? メリットとデメリットを解説

「外貨建て個人年金保険」ってどんなもの? メリットとデメリットを解説
日本の銀行の普通預金では、預けていてもほとんど利息が付かないことから、老後資金を増やすために個人年金保険への加入を選択する方もいます。個人年金保険の中には、日本よりも金利の高い海外でお金を運用する、外貨建てのものがあります。今回は、この、外貨建て個人年金保険の概要をお伝えします。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

外貨建て個人年金保険とは

外貨建て個人年金保険とは、支払った保険料を外貨で運用する個人年金保険です。保険証券を見ると、保険料の支払額や受け取れる年金額が米ドルやユーロなどの外貨で示されていることが分かります。選択する商品によって運用先は異なりますが、外国債券などで運用されることが多いようです。
 
外貨建て個人年金における保険料の支払いや受け取りの方法は複数あり、保険料の支払いには月払い・半年払い・年払いなどの分割払いや、契約時に一括で支払う一時払いが、受け取り方には10年や20年など期間が定まっている有期年金タイプや、一生涯受け取れる終身年金タイプなどがあります。
 

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外貨建て個人年金保険のメリット

外貨建て個人年金保険のメリットは、日本より金利の高い国の外貨で運用できることにあります。金利が高いため、運用後の利益を多く受け取れるというリターンが期待できます。
 
個人年金保険は10年や20年、もしくはそれ以上の長期にわたって保険料を支払い続け、保険金を受け取るのは老後、という長期間の運用になるため、少しの利率の差が、将来受け取る年金額においては大きな差になります。
 
例えば、100万円を10年間預けた場合、単利の年利0.01%では利息が1000円、単利の年利2.00%では利息が20万円となり、単純計算ではありますが大きな差が生じることが分かります。
 
また、現金や預金などすべての資産を日本円で保有している方にとっては、外貨を持つことで円の価値が下がったときのリスク回避となるのも、メリットの一つといえるでしょう。
 

外貨建て個人年金保険のデメリット

しかしながら、外貨建て個人年金保険にはデメリットもあります。一番のデメリットは「為替リスク」です。為替レートは日々変動しており、個人年金を受け取る日の1ドルや1ユーロが日本円で幾らになるかを正確に予測することは不可能です。
 
例えば、受け取れる保険金が1万ドルであると仮定した場合、1ドルが150円のときは日本円で150万円受け取れますが、1ドルが90円のときは日本円で90万円になります。支払った保険料の合計額が120万円だと仮定すると、為替レートよって、支払った保険料より受け取る保険金が増えることもあれば少なくなることもあるという、リスクを伴います。
 
また、保険料を支払う際も為替リスクを受けます。例えば、保険料が毎月100ドルの保険に加入したと仮定すると、為替レートが1ドル120円のときに支払う額は月1万2000円ですが、1ドル150円のときは月1万5000円となり、場合によっては家計を圧迫する原因にもなり得るでしょう。
 
もう一つのデメリットは、満期になる前、早い段階で解約してしまうと元本割れする可能性があることです。外貨建て個人年金保険は、解約時に為替手数料が必要となる場合もあり、支払った保険料に比べて解約したときの返戻金が大きく減ることもあり得ます。
 

元本保証ではないことを認識しておこう

外貨建て個人年金保険を契約するときは、元本保証ではない商品だということを認識しておきましょう。リスクがあることは保険会社から説明されますが、契約のときは「満期になればお金が増える」という気持ちが先行しがちです。外貨建てのリスクについて深く考えずに契約し、損失が発生してしまうこともあり得ます。
 
外貨建て個人年金保険は、日本円の個人年金保険よりも多く保険金を受け取れる期待がある一方で、為替相場の変動により損失することもあるとよく理解してから加入するようにしましょう。
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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